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2023年に中国のBilibiliで配信がスタートして大きな話題を集めた「古相思曲~君想う、千年の調べ~」をようやく最後まで見届けました。過去へ遡るたびに深まる切なさに胸が締めつけられて、最終話を見終えたあともしばらく涙が止まらなくなってしまった作品です。
このドラマでとりわけ切ないのは、主人公2人の流れる時間の向きが逆になっているところなんですよね。歴史小説家の沈不言(しんふげん)は架空の王朝・晟国へと時を遡る旅に出るのですが、そこで出会うのが悪名高い「妖后」として歴史に名を残す陸鳶(りくえん)でした。沈不言にとっては出会ったばかりの初対面なのに、陸鳶にとっては人生の終わりが迫る再会で、すれ違う視線と言葉のひとつひとつに愛おしさと痛みがぎゅっと詰まっています。
お互いの時間の流れが正反対に進んでいくからこそ、沈不言が彼女の真実の姿を知れば知るほど、陸鳶が抱えてきた孤独と覚悟の重さが胸に迫ってきます。恋愛だけに留まらない陸鳶の気高い生き方と、彼女をなんとか救おうとする沈不言の奮闘から、1話たりとも気が抜けませんでした。
この記事では、私が毎回ティッシュの山を築きながら完走した感想を交えつつ、「古相思曲~君想う、千年の調べ~」の全話あらすじとネタバレ、見どころを余すところなく紹介します。
ぜひ、すれ違う運命に抗いながら紡がれた2人の千年の調べを一緒に見届けましょう♪
古相思曲~君想う、千年の調べ~ あらすじ
歴史小説家の沈不言は、ある日突然、架空の王朝である晟国の時代へと時を遡ってしまいます。彼がたどり着いた過去の世界で出会ったのは、後世の歴史書で国を乱した悪女「妖后」として記録されていた皇后の陸鳶でした。しかし、第1話で沈不言が初めて陸鳶と対面した瞬間、彼女は初対面であるはずの沈不言をずっと前から深く知っているかのような、切ない眼差しを向けます。沈不言はその態度に強い戸惑いを覚えました。残された歴史の悪名とは違い、目の前に立つ陸鳶は自分の理想を持って生きる凛とした女性だったのです。さらに過酷なことに、二人の時間は逆方向に流れていました。沈不言にとっての最初の出会いは、陸鳶にとって積み重ねてきた日々の終わりだったのです。すれ違う時間の流れの中で、沈不言は彼女が選んだ本当の生き方を知ろうとします。この先、二人にどんな結末が待っているのでしょうか。
見どころ
私は第1話で、沈不言が皇后となった陸鳶と初めて対面した瞬間から一気に引き込まれました。沈不言にとっては全く知らない初対面の相手なのに、陸鳶のほうは全てを察したような落ち着きと深い寂しさを滲ませていて、その視線の温度差がたまらなく切なかったです。時間が逆行して交差していく構成なので、沈不言が陸鳶を深く理解していくほど、陸鳶側の時間では彼との思い出が巻き戻って過去へと向かってしまいます。逆方向の時間軸に矛盾が生じないよう緻密に練られた物語だからこそ、話が進むにつれて点と点がつながっていく感覚に鳥肌が立ちました。正直、この二人の時間のすれ違いは見ていてかなり苦しかったです。
ただ守られるだけのヒロインではなく、陸鳶が自分自身の強い意志と理想を持って過酷な運命を選び取っていく姿がとても印象に残りました。
歴史の中で悪名を背負うことになった彼女が、実際には何を守ろうとしていたのかが明かされていく過程には、言葉を失うほどの重みがありました。ジャン・ヤーチンさん演じる陸鳶の静かで凛とした佇まいと、グオ・ジアナンさん演じる沈不言の必死な眼差しが重なり、派手さに頼らない控えめな感情表現だからこそ痛いほど胸に響きました。「古相思曲~君想う、千年の調べ~」は全14話とコンパクトですが、一瞬たりとも気が抜けない濃密なドラマでした。
「古相思曲 各話あらすじ」はこちらから
ご覧になりたい話数を押していただけると各話の詳しいあらすじが表示されます。
キャスト・登場人物
「古相思曲~君想う、千年の調べ~」のキャスト&主な登場人物一覧です。
陸鳶(演:張雅欽)

歴史書では国を乱した「妖后」と悪名高い晟国の皇后ですが、本当は誰よりも民と国を思い、たった一人で過酷な運命を背負い続けた強くて優しい女性です。南夢湖で育った平凡な娘だった頃から、宮廷の権力闘争に巻き込まれていく姿がとにかく切なくて、観ていて胸が苦しくなりました。自らの命と名誉を投げ打ってでも大切な人たちを守ろうとする覚悟には、同じ女性として圧倒されます。
沈不言(演:郭迦南)

割れた玉佩に導かれて現代から晟国へとタイムスリップしてしまう歴史小説家です。自分の時間は未来から過去へと逆行しているため、自分が深く愛した頃の陸鳶はまだ自分を知らないという残酷なタイムラグに翻弄されます。最初は歴史の改変に戸惑う頼りなさもありましたが、陸鳶のために必死で策を巡らせる姿にはどんどん引き込まれました。彼女の無実を信じて奔走し続ける一途さは本当に応援したくなります。
陸時(演:全伊倫)
姉の陸鳶を心から慕い、国を守るために武官として戦地に赴く勇敢な弟です。真っ直ぐな性格と卓越した武芸の持ち主で、姉弟の強い絆を見ているだけで温かい気持ちになりました。李擁の謀略が渦巻く中で過酷な戦いに巻き込まれていく展開は、本当にやりきれませんでした。
李擁(演:荘翰)
晟国の丞相で、表向きは国に尽くす賢相の顔をしていますが、裏では平然と敵国と通じる本作最大の曲者です。かつては陸鳶を義娘として手元に置いていたにもかかわらず、自分の保身と権力のために容赦なく切り捨てる姿には本当に腹が立ちました。悪役としての存在感が抜群で、画面に出てくるたびに警戒してしまいます。
倚華(演:朱林雨)
事件に巻き込まれていたところを陸時や陸鳶に助けられ、やがて姉弟の心強い味方となって宮中でも陸鳶を支え続ける女性です。控えめながらも芯があり、過酷な状況下でも陸鳶のそばを離れずに寄り添う姿がとても印象的でした。
元啓皇帝(演:黄靖洲)
晟国の若き皇帝です。当初は強気な北伐を掲げていましたが、沈不言らの進言を聞き入れる柔軟さも見せていました。しかし李擁の卑劣な罠によって毒を盛られ、知能を奪われて操り人形にされてしまう展開は見ていて本当にお気の毒でした。
楚同裳(演:蒲熠星)
赤ん坊の頃に陸鳶に引き取られ、愛情を注がれて育てられた皇室の遺児です。成長した後に「妖后」とされた陸鳶を討つ立場になるという、皮肉で重い宿命を背負わされた人物です。
趙啓龍(演:淳于珊珊)
李擁と結託し、陸鳶や沈不言の前に立ちはだかる北烈側の人物です。李擁の裏切りと、晟国を取り巻く外敵の思惑をつなぐ存在として登場します。
相関図
『古相思曲』第3話で、陸時の出兵を李擁に認めさせるため、陸鳶が裏でひそかに行った行動はどれか?
『古相思曲』第4話で、南夢湖畔の隣家のおじいさんが李擁の目を盗んで隠れて育てていた赤ん坊の実の父親は誰か?
『古相思曲』第5話で、城内で暴動寸前となった民衆を鎮めるために陸鳶が高々と掲げたものは何か?
『古相思曲』第6話で、内戦を避けるため自ら囚われの身となった陸鳶が、火烽堡と虎豹営を託した人物は誰か?
『古相思曲』第7話で、沈不言の警告を拒絶した陸鳶は、李擁義父に何年間仕えてきたと主張したか?
「古相思曲~君想う、千年の調べ~」における主要キャラクター同士の関係性です。
沈不言と陸鳶は、互いの流れる時間が逆方向に進んでいるため、出会うたびに心の距離やすれ違いが変化していく運命の二人です。陸鳶にとって陸時は命がけで守りたい最愛の弟であり、倚華は姉弟が苦境から救い出したことで深い忠誠と絆で結ばれた無二の仲間となります。
一方で、丞相の李擁はかつて陸鳶を養女としていましたが、権力への執着から陸時を罠に陥れ、元啓皇帝に毒を盛って傀儡に仕立て上げるなど、陸鳶たちと激しく対立する冷酷な敵対関係へと変わっていきます。また、陸鳶が自らの手で育て上げた楚同裳は、やがて皇室の血筋として彼女に対峙することになり、複雑な愛憎と宿命で結ばれています。
評価・レビュー
中国ドラマ「古相思曲」の評価レビュー&感想です。
全14話を完走したクルミットの正直な感想を書いています。
後半はネタバレありなのでご注意ください♪
第1話で気になったのは、突然現れた沈不言を、陸鳶が待っていたように迎えるところ。彼は戸惑っているのに、彼女は頼み事まで用意しているんですよね。この二人の間に何があったのか、私はまず陸鳶のことを知りたくなりました。説明がすぐには追いつかない感じも、この始まりには合っていたと思います。
ネタバレありの感想
私がいちばん好きだったのは陸鳶です。人のために動ける強さも好きなんですけど、もう少し自分を大事にしてほしいとも思いました。第5話で陸時が倚華と楚同裳を守って倒れた場面は、正直かなりつらかったです。戦場を生き延びて、やっと帰れた家でまで命を狙われるなんて。李擁には本当に腹が立ちました。陸時の死まで兵権を奪う機会にするところが、私はどうしても許せません。
好きな場面を挙げるなら、第13話の箜篌と玉佩のやり取りです。沈不言が玉佩を売って楽器を贈り、陸鳶がその玉佩を見つけて買い戻す。相手に何かしてあげたくて、それぞれが動いているのがいいんですよね。沈不言には焦って周りが見えなくなるところもあるけれど、こういう贈り物をする人なのが好きです。もう少しこの二人の暮らしを見たかったですし、陸鳶が楽器を楽しめる時間がもっとあってほしかったです。
最終話の第14話で、沈不言が何年も研究を続け、陸鳶の名誉を取り戻してくれたことにはほっとしました。ただ、李擁が「賢相」として名を残したと知った時の腹立たしさは、すぐには消えませんでした。陸鳶が守ったものを知っているだけに、彼女に「妖后」という呼び名がついて回るのが嫌だったんです。沈不言が史料を調べる仕事を投げ出さずにいてくれて、そこは本当によかったです。
まぁ、私はやっぱり二人に一緒に暮らしてほしかったです。陸鳶の選んだ道を好きだと思う気持ちと、その選択で失ったものへの寂しさが、見終わっても残りました。結末には納得しているんですけど、気持ちまでさっぱり収まったわけではないんですよね。陸鳶にも、自分のためだけに過ごせる長い時間をあげたかったです。
この作品が好きならこちらも
陸鳶役の張雅欽(ジャン・ヤーチン)が、玉蓮を演じているのが『流水舞花』。こちらは素性を隠して悪臣として生きる衛昭と、陰謀に巻き込まれる江慈が中心です。陸鳶とは別の役柄を見られますし、悪い評判を背負って生きる人物が気になった方にも合いそうです。
過去に戻って運命に抗うところが好きなら、『覆流年』も。こちらは夫に裏切られた陸安然が復讐に挑むお話なので、やり直す目的に怒りがあるところが違います。
陸鳶の知恵や譲れない思いに惹かれたなら、『孤高の花』もよさそうです。こちらの二人は敵同士。知略をぶつけ合いながら惹かれる関係を楽しめます。
つらい境遇の二人が心を寄せるところが好きなら、『星漢燦爛』も。程少商と凌不疑の恋には、将軍が胸に秘めた復讐も絡んできます。
時空を越える不思議さに惹かれたなら、『蒼蘭訣』も候補です。こちらは雲夢沢・水雲天・蒼塩海という三つの界が舞台。晟国とはまた違う世界に入り込めそうです。
苦しい立場でも踏ん張る陸鳶が好きなら、『明蘭』も。家の中で虐げられて育ち、母の言葉を守って目立たず生きようとする明蘭の歩みを追うお話です。
みんなの評価 ― 中国と日本でこんなに違う
ここからは、私の感想とは別に、中国と日本のみんなの評価をまとめました。
中国と日本の評価
| 項目 | 中国(豆瓣) | 日本(Filmarks) |
|---|---|---|
| 平均スコア | 8.6(10点満点・2024年8月6日時点) | 3.9(5点満点・2026年10月時点) |
| 評価数 | 201,412人 | 147件 |
| 分布 | 不明 | 4.1-5.0: 32% 3.1-4.0: 55% 2.1-3.0: 12% 1.0-2.0: 2% |
中国のエンタメ論評で知ったのですが、bilibili独占配信で、投稿者の二次創作動画をもとにした小規模な作品なんですよね。大スターや大きな宣伝がなくても口コミで広まった、夏のダークホースとして紹介されていました。二人の関係が気になって見続けた私には、その広まり方もしっくりきます。
私の感想は、好きなところがたくさんありつつ、つらさも残ったという意味で、日本のレビューサイトの評価に近いです。
中国で賛否が分かれたところ
中国のエンタメ論評では、先の歴史を知っていても、逆向きの時間移動では都合よく未来を変えられないところが褒められていました。ここは私も好きです。沈不言が事情を知っているだけで何でも解決できたら、陸鳶に話が通じない焦りも、あそこまで感じなかったと思うんですよね。
悲恋でも嫌みがない、という評価もわかります。二人が相手を好きになる気持ちは、私は素直に受け取れました。ただ、陸時のことまで思い返すと、私には少しつらさが多かったです。結末が決まっていても愛する勇気を褒めたくなる一方で、そんな覚悟ばかり求めないであげてほしい気持ちもありました。
衣装の色が二人で逆の濃淡に変わっていく工夫も、中国のエンタメ論評で知りました。気持ちを追うのに精いっぱいだったので、そこはもう一度見たいです。bilibiliでは最終話から逆順に再生する方法も用意されたそうです。陸鳶が出会った順番で見ると、沈不言を待つ時間をもっと身近に感じられそうで、私はそちらも気になります。
評価データ・参考資料
- Filmarks「古相思曲(こそうしきょく) ~君想う、千年の調べ~」(評価データ)
- 网易号「2023年最惊喜古装剧,《古相思曲》口碑爆炸,打了多少业内人的脸」(2023年7月18日)
- 百度百科「古相思曲」
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撮影秘話とトリビア
「古相思曲~君想う、千年の調べ~」の世界をもっと深く楽しめる!知れば知るほど面白い、ドラマのトリビアや撮影裏話をご紹介します。
知竹監督のインタビューをもとに、脚本づくりや撮影の工夫を紹介します♪
小説原作ではない?発端は2019年の二次創作動画
時代劇ドラマの多くは原作小説を持つことが多いですが、「古相思曲~君想う、千年の調べ~」には原作となる小説が存在しません。本作の起点となったのは、脚本陣の一人でもある三千魚氏が2019年に発表した二次創作映像でした。双方が逆方向に流れる時間設定や、控えめな感情表現というエッセンスを受け継ぎつつ、ドラマの物語として一から作り直されたそうです。また、舞台となっている晟国は架空の王朝であり、特定の史実をそのまま再現したものではないと知竹監督が明かしています。
時系列の矛盾を防ぐ!杭州で練り直された緻密な脚本
主人公たちの時間が逆行するという極めて複雑な構造を持つ「古相思曲~君想う、千年の調べ~」では、物語の整合性が大きな鍵を握っていました。知竹監督と脚本陣は杭州に集まり、双方の時間軸を照らし合わせながら、順序に一切の矛盾が生じないよう入念に点検を重ねて脚本を練り直したとのことです。ヒロインの陸鳶についても、単なる恋愛にとどまらない理想や主体的な選択を持つ人物として丁寧に構築されました。
限られた制作環境での工夫と監督の熱意
本作は潤沢な資金があったわけではなく、限られた予算のなかで撮影が進められました。その厳しい状況下でも作品のクオリティを高めるため、知竹監督自らが撮影機材や補助スタッフを追加して制作を支えたというエピソードが残されています。
中国本土での反響 ― 2023年8月の豆瓣8.5点と作品への反響
中国本土で「古相思曲~君想う、千年の調べ~」は、限られた予算のなかで丁寧に練り上げられた脚本と演出が大きな注目を集めました。原題の「古相思曲」として配信が始まると、逆行する時間軸の切ない構成や主人公たちの生き方が視聴者の心をつかみました。監督インタビューが掲載された2023年8月の時点でも、豆瓣評価8.5点という高い評価を獲得した作品として紹介されています。
2023年6月22日 Bilibili配信の基本データ
本作は中国のプラットフォームBilibiliにて、2023年6月22日より全14集で配信がスタートしました。
豆瓣スコア8.5点と反響
2023年8月7日付の監督インタビューでは、豆瓣スコア8.5点の作品として紹介されています。逆行する時間軸の組み立てや、ヒロインが自分の理想を貫く姿が注目されました。
- 支持派:逆方向に進む緻密な時間軸の構成や控えめな感情表現、そして恋愛に終始せず自らの理想と主体的な選択を持って生きるヒロインの姿が好評を得ています。
製作体制と原作 ― 二次創作映像から物語を再構築した逆行型ストーリー
「古相思曲~君想う、千年の調べ~」の魅力をより深く味わうためには、本作がどのような背景や製作陣の手によって形作られたのかを知ることが手がかりとなります。時間が逆行して交差するという緻密な構成がどのように生み出されたのか、その制作背景を整理してご紹介します。
監督・脚本家
演出を務めたのは知竹(ジージュ)監督です。脚本には、ホーリーユンドワン、ダイ・チャオチャオ、サンチエンユー、ツイ・シーシーの4名が参加しています。知竹監督と脚本陣は杭州に集まって脚本を練り直し、双方が逆行する時間軸の中で矛盾が生じないように入念な点検を行いました。また、限られた予算体制のなかで、知竹監督自身が撮影機材や補助スタッフを追加手配したほか、挿入歌の1曲を自費で追加制作するなど、作品の質を高めるための工夫が重ねられました。
物語の出発点となった二次創作映像
「古相思曲~君想う、千年の調べ~」には原作となる既存の小説は存在しません。本作は、脚本陣の一人であるサンチエンユーが2019年に発表した二次創作映像を起点としており、そこからドラマの物語として完全に作り直された作品です。逆方向に進む時間軸と控えめな感情表現という原案の良さを活かしつつ、女主人公の陸鳶には単なる恋愛にとどまらない個人の理想や主体的な選択を持たせるなど、ドラマ独自の厚みある物語が描かれました。なお、舞台となる晟国は架空の王朝であり、特定の史実を再現したものではないと説明されています。
連続ドラマとして練り直された点
本作には原作小説が存在しないため、小説からの改編点はありません。ただし、発端となった二次創作映像から連続ドラマへと物語を再構築するにあたり、以下の点が明確に練り直されています。
- 時間軸の徹底した整合性チェック:男女それぞれの時間が逆行する設定において破綻が起きないよう、監督と脚本陣が杭州で綿密な検証を重ねてストーリーを構築しました。
- 主人公の主体性と理想の付与:女主人公である陸鳶について、恋愛関係だけに終始するのではなく、自身の理想や自発的な意志に基づいて運命を選択していく人物造形へと作り直されました。
- 全14話のドラマ構成への再構築:起点となった短編映像の骨組みを保ちつつ、歴史小説家の沈不言と陸鳶が織りなす連続ドラマとしての全体プロットが新規に設計されました。
出品・制作体制
本作は中国のプラットフォームであるBilibiliで2023年6月22日より配信が開始された作品です。限られた予算規模でありながらも、監督をはじめとする現場の創意工夫によって丁寧な制作が進められました。
OST ― 挿入歌《溯洄》と制作の背景
ドラマ「古相思曲~君想う、千年の調べ~」の音楽情報についてご紹介します。本作は限られた制作予算の中で撮影が進められ、知竹監督が撮影機材や補助スタッフだけでなく、OSTの1曲を自費で追加したという経緯が明かされています。
挿入歌
《溯洄》 ― 歌手:小時姑娘
本作の挿入歌として、2023年7月13日に公式MVが公開されました。
結末解説【ネタバレ注意】― 第14話で明かされる真実と時を超える約束
※この章はドラマ最終話の核心的な結末に触れています。本編未視聴の方は十分ご注意ください。
最終話のクライマックス
「古相思曲~君想う、千年の調べ~」の最終第14話では、現代に戻った沈不言が南夢湖畔で楚同裳の子孫である老婆と出会い、元啓の変に隠されていた真実を知ることになります。陸鳶は政変の際に矢を受けて命を落としたわけではなく、それ自体が李擁を欺くための緻密な計略でした。陸鳶の指示のもとで楚同裳が防衛図をすり替えており、偽の図を手にした北烈軍は総崩れとなりました。計略を見抜けなかった李擁は北烈軍によって討たれましたが、皮肉なことに史書には「賢相」としての清名が残ることになりました。一方の陸鳶は、混乱を収めて民に次の時代への希望を託すため、あえて自らが「妖后」として楚同裳に粛清される過酷な運命を受け入れました。そして物語の最後には、幼い陸鳶と沈不言の最初の出会いが描かれ、互いに逆行する二人の時間の環が静かに結ばれました。
主要キャラの決着
沈不言は現代へ帰還後、南夢湖畔で発掘された陸鳶の墓と出土した史料を手がかりに研究を重ね、千年の時を超えて彼女の名誉回復を果たしました。
陸鳶は愛する人々や国家を守り抜くため、自ら「妖后」という悪名を背負って命を落とす道を選び、沈不言との約束を胸にその生涯を閉じました。
李擁は己の野心のために敵国と通じて暗躍しましたが、陸鳶の策に敗れて北烈軍に討たれ、真相は伏せられたまま史書に賢相と記される結末を迎えました。
楚同裳は陸鳶の意図を汲んで防衛図をすり替えて国を救い、新時代の秩序のために陸鳶を処刑する役目を果たし、その血脈は現代へと受け継がれました。
なぜこの結末なのか
「古相思曲~君想う、千年の調べ~」は、二人の時間が互いに逆方向に流れているという特異な構造を持っています。沈不言にとっては「初対面」の相手が、陸鳶にとっては「長い間待ち続けた相手との最後の再会」であり、逆に沈不言がすべてを知った最終話で出会うのは、まだ何も知らない幼少期の陸鳶でした。本作が描く晟国は特定の史実を再現したものではなく架空の王朝ですが、歴史の大きなうねりや定まった運命に翻弄されながらも、陸鳶が自らの意志と理想をもって選択を重ねたからこそ、この結末に重層的な深みがもたらされています。歴史上では悪名高い「妖后」とされていた女性の真実を現代の沈不言が解き明かし、名誉を取り戻すという着地によって、二人が紡いだ千年の絆が救いとなって結実しています。
基本情報
| タイトル | 古相思曲~君想う、千年の調べ~(古相思曲) |
|---|---|
| 配信 | ビデオマーケットの配信ページ(日本語字幕・全14話) 中国初回配信:Bilibili |
| 放送年 | 2023年(中国配信開始:2023年6月22日) |
| 話数 | 全14話 |
| ジャンル | 時代劇、恋愛、ファンタジー |
| 演出 | 知竹(ジージュ) |
| 脚本 | ホーリーユンドワン、ダイ・チャオチャオ、サンチエンユー、ツイ・シーシー |
| 主な出演 |
張雅欽(ジャン・ヤーチン):陸鳶役 郭迦南(グオ・ジアナン):沈不言役 朱林雨(ジュー・リンユー):倚華役 全伊倫(チュエン・イールン):陸時役 荘翰(ジュアン・ハン):李擁役 黄靖洲(ホアン・ジンジョウ):元啓皇帝役 淳于珊珊(チュンユー・シャンシャン):趙啓龍役 蒲熠星(プー・イーシン):楚同裳役 |
参考資料
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