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クルミットです♪
『楽游原』第38話は、涙なくして見られない“別離の回”。
柳承鋒(りゅうしょうほう)の狂気と執着、そして崔琳(さいりん)の悲劇――。
物語が長く張り詰めてきた愛と恨みの糸が、ついに断ち切られます。
運命に翻弄された人々の中で、ただひとつ変わらないのは“李嶷(りぎょく)の愛”。
胸を裂くような静けさと美しさが同居する、シリーズ屈指の号泣回でした。
それでは第38話を一緒に見ていきましょう!
楽游原 第38話のあらすじ
柳承鋒は揭硕(けいしょく)のウロと手を組み、
「崔琳を連れ出す代わりに、自由をくれ」と約束していました。
しかし、彼の心にはまだ“阿萤(あけい)=崔琳”への未練が残っており、
それが悲劇の火種となっていきます。
崔琳を連れ出すと同時に、桃子を乱葬崗へ投げ捨てるよう命令。
「阿萤がいればいい、余計な者は要らぬ。」
その狂気の瞳には、もはや理性の光は残っていませんでした。
やがて、柳承鋒はウロの前に戻り、
「約束通り、解毒薬をよこせ。」
しかし鼻の利く彼は、一嗅ぎして悟ります。
「……これ、毒だな。」
ウロは冷笑を浮かべました。
「賢いな、柳承鋒。だが賢すぎる者は早死にする。」
部下が柳承鋒を押さえつけ、縄をかける。
「お前も崔琳も、まとめて地獄へ送ってやる。」
この場面、柳承鋒の狂気と悲哀が入り混じり、
「愛して殺す」しかできない男の末路が見え始めていました。
しかし柳承鋒もまた、手ぶらではいませんでした。
彼は静かに笑い、
「ウロ、お前と顧相(こしょう)の密約の書簡――
すでに阿恕に預けてある。」
「俺と阿萤が生きて戻らねば、あれは明日の朝、
朝堂で読み上げられる。」
ウロの顔色が変わります。
「貴様……!」
怒り狂ったウロは柳承鋒に拷問を加え、
阿恕の居場所を吐かせようとしますが、
柳承鋒は歯を食いしばり、何も言いません。
やがてウロはあきれたように笑い、
「ならば選べ――お前が死ぬか、崔琳が死ぬか。」
柳承鋒は血に濡れた顔を上げ、
「……俺が殺す。」
彼は崔琳の命だけでも守るため、
“自らの手で”毒を与える選択をしました。
「俺の手で死ね、阿萤。
他の誰にも触れさせない。」
ゆっくりと崔琳の唇に薬を押し込み、
そのまま抱きしめるように口移しで飲ませます。
涙が彼女の頬を伝う中、
柳承鋒の腕の中で、崔琳の意識が薄れていきました。
この“毒の口づけ”――愛ゆえの残酷。
柳承鋒の歪んだ純情が、悲しみと背徳の極みとして描かれていました。
一方、李嶷は京中を捜索するため、
禁軍と羽林衛すべてを動員。
西長京の城門を閉鎖し、民家一軒一軒を捜させます。
新皇は顔を真っ赤にして激怒。
「太子が軍を動かすなど謀反も同然!」
顧相は静かに言いました。
「陛下、自らお聞きになっては?」
だが李嶷は、そんな詔を聞く暇もなく、
崔琳を探すことだけに全身全霊を注いでいました。
そのとき――
義荘に不審な若い女が運ばれたとの報が。
李嶷は馬を走らせ、闇の中を駆け抜けます。
義荘に着くと、空気はどこか異様に静まり返っていました。
かすかな物音を頼りに進む李嶷。
「崔琳?」
答えはない。
かわりに、上階から誰かの叫び声が。
顔を上げると、柳承鋒が窓から飛び降りてきました。
「阿萤――!」
李嶷は即座に剣を抜き、階段を駆け上がります。
そこには――
床に倒れた崔琳の姿。
「崔琳!!」
彼は彼女を抱き上げ、そのまま東宮へ。
すぐさま太医を呼び寄せますが――
太医たちは一様に顔を曇らせ、跪きました。
「……すでに脈が、ございません。」
李嶷は言葉を失い、
崔琳の冷たい手を握ったまま、膝から崩れ落ちました。
まるで時間が止まったような静けさ。
彼の肩の震え、血の気の引いた唇――この演出があまりに痛々しい。
夜。
李嶷は崔琳を抱きかかえ、
彼女との思い出の地――**楽游原(らくゆうげん)**へ。
月明かりの下、風が頬を撫でます。
「なあ、覚えてるか?
あの時、ここで見た蛍……
お前が笑って、俺も笑ってた。」
李嶷は崔琳を膝に抱き、
静かに歌い始めました。
“风起风落,花开花谢,
阿萤笑处,天地皆明。”
(風が起き、花が散る。阿萤の笑みがあれば、世界は光に満ちる)
歌声は夜風に乗って遠くへ消えていきます。
それでも李嶷は歌い続けました。
「もう一度、目を開けてくれ……頼む……」
しかし、崔琳は動かない。
夜が更け、焚き火が燃える。
李嶷は崔琳を腕に抱いたまま、
まるで彼女が眠っているかのように話しかけます。
「魚が焼けたぞ。
起きて食べないと、冷める。」
崔琳の唇に指を当て、微笑みかける。
「……いいさ。もう、太子じゃなくても。
ここで、お前とずっと。」
風が吹き抜け、焚き火の火の粉が宙に舞う。
その光景は、まるで再び蛍が舞っているようでした。
ラストの“焚き火と蛍の対比”――
生命の儚さと、永遠の愛を象徴するような演出に心が震えました。
楽游原 第38話の感想まとめ
第38話は、『楽游原』全話の中でも最も胸を締めつける悲劇回。
柳承鋒の愛が狂気に変わり、崔琳の命を奪い、
その結末を李嶷の“信じたくない現実”として描いた構成が圧巻でした。
柳承鋒の“毒の口づけ”は残酷でありながらも、
愛を歪んだ形で貫いた最後の証。
一方の李嶷は、“死を受け入れられない男”として涙を誘います。
「愛して、失って、まだ愛している」――
この一話に『楽游原』という物語のすべてが凝縮されていました。
次回、第39話では、崔琳の死を巡る真実と、
李嶷の怒りが朝堂を震撼させます。
復讐か赦しか――愛の行方が、いよいよ最終章へ。
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