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クルミットです♪
ついに『楽游原』も最終回。
戦と陰謀の時代をくぐり抜けた李嶷(りぎょく)と崔琳(さいりん)に、ようやく穏やかな時間が訪れます。
涙に明けた夜を越え、朝日のような幸福へ――
長く続いた旅路の果てに見えた“楽游原”は、愛と赦しに満ちた最終話でした。
それでは、第40話の結末を一緒に見ていきましょう!
楽游原 第40話のあらすじ
桃子(タオズ)と謝長耳(しゃちょうじ)の看病のもと、
昏睡していた桃子がようやく目を覚まします。
枕元で涙ぐむ崔琳は、微笑みながら語りかけました。
「長い夢を見ていたの。
声も聞こえるのに、身体が動かなくて……」
桃子は思い出します。
柳承鋒に渡した“假死薬”――それが崔琳の命を救ったのです。
復讐と犠牲の連鎖の中に、たった一つの“優しさ”が命をつないだ。
この作品らしい美しい因果の回収でした。
宮中では、新皇と皇后が静かに語り合っていました。
「李嶷は……あれほどの試練をくぐり抜けた。
きっと良い皇帝になる。」
新皇は悔恨の表情を浮かべながらも微笑み、
「この江山は、そなたの息子に託そう。」
二人は、老後は漓山行宮で穏やかに過ごすことを誓います。
その日、新皇は李嶷を呼び寄せ、
なんと一緒に“コオロギ相撲”を楽しみました。
「勝ったぞ!」
「父上、卑怯です!」
笑い合う親子。
その光景に、かつての確執はもう見当たりませんでした。
夕暮れ。
夕焼けが西長京を黄金色に染める中、
李嶷と新皇は大殿の前に並んで座ります。
新皇は、ゆっくりと語り出しました。
「この天下は、お前のものだ。
私は良き皇帝ではなかったが……
少なくとも、お前という良き息子を持てた。」
李嶷は深く頭を垂れます。
「父上、もし私がこの天子の座を望まなければ?」
新皇は笑いながら答えました。
「それでも構わん。
お前が笑っていられれば、それでいい。
その時は、漓山でまた蛐蛐を競おうではないか。」
父と子が、ようやく“皇帝と太子”ではなく“家族”として結ばれた瞬間。
長い確執が静かに溶けていく描写に涙が込み上げました。
翌年――
添泰二年、皇帝は正式に禅位。
新帝・李嶷が即位し、改元「翔隆」。
太子妃・崔琳は正式に皇后として冊立されました。
顧相一族は謀反罪で崖山へ流放。
顧婉娘(こえんじょう)は良娣の位を剥奪され、庶人として追放。
そして――彼女は心を壊してしまいます。
街中で「私は太子妃よ!」と叫びながら笑う姿を見た人々は、
ただ哀れに目を伏せるしかありませんでした。
それを遠くから見つめた桃子と謝長耳は、
「哀れね……」とため息を漏らします。
最後まで報われなかった顧婉娘。
野心も恋もすべてを失った彼女の姿が、権力の虚しさを象徴していました。
皇后となった崔琳は、再び筆を手に取りました。
絵巻の中には、これまでの旅のすべて――
牢兰関、白水関、そして泣きじゃくる李嶷の顔まで。
李嶷は照れくさそうに言います。
「そんな顔を描くな、恥ずかしいだろ。」
崔琳は笑いながら筆を止め、
「なら賭けをしましょう。
十まで数えても、あなたが目を開けなかったら消してあげる。
でも途中で開けたら、涙を二筋、加えるわ。」
李嶷はすぐに目を閉じ、
「今回はお前が何をしても、開けないぞ!」
しかし次の瞬間、崔琳が囁きます。
「……十七郎、私、お腹に子ができたの。」
李嶷ははっとして目を開け、
「本当か?」
崔琳は頷き、李嶷は思わず彼女を抱きしめました。
「ありがとう……阿萤。」
“十七郎”と呼ばれた青年が、ついに父親に。
二人の長い物語にふさわしい、優しく温かい奇跡の瞬間でした。
数か月後。
李嶷は毎日のように楽游原へ赴き、
崔琳のために魚を釣り、スープを煮ます。
「もし男の子なら阿稻、女の子なら阿枕だ。」
「阿枕? なんだか可哀想ね。」
「なら……阿萤二世だ!」
二人は笑い合い、手を取り合って夕風に揺れました。
やがて、崔琳が産気づきます。
一昼夜の陣痛の末、
無事に皇子を出産。
外で待ちわびていた李嶷は、
涙を浮かべながら母子を抱きしめました。
「ありがとう。本当にありがとう。」
十年の月日が流れ――
李嶷は息子・李玄澤(りげんたく)に帝位を譲り、改元「盛和」。
彼と崔琳は、再び牢兰関へ。
鎧をまとい、焚き火の前で笑う二人。
隣には成長した子どもたち。
桃子と謝長耳もそばにいて、家族のような時間が流れます。
夜、彼らは老鲍(ろうほう)たちの墓前に灯を供えました。
「兄弟たち、俺たちはまだ生きている。
この平和を、お前たちにも見せたかった。」
崔琳はそっと絵巻を広げ、最後の一筆を加えます。
――“愿天下安宁,
人皆得其乐游原。”
(この世すべての人に、それぞれの“楽游原”が訪れますように)
炎が揺れ、星が瞬く。
彼らの笑い声が、夜空へと溶けていきました。
楽游原 最終回の感想まとめ
最終回は、これまでの戦と苦しみをすべて包み込むような癒しと再生の物語でした。
涙の中で始まった愛が、ようやく穏やかな形で結実する――
李嶷と崔琳が歩んだ“天下”とは、権力でも栄光でもなく、
人と人の心をつなぐ“平和”そのものでした。
牢兰関で笑う家族の姿、老鲍たちへの祈り、
「この世の全てにそれぞれの楽游原を」――
この一言が、物語のすべてを優しく包んでくれました。
長き旅路を経て、
彼らがようやく見つけた“帰る場所”。
それこそが――『楽游原』の名が意味する、本当の楽園だったのかもしれません。
彼らの“楽游原”が、永遠に平和でありますように。
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