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クルミットです♪
朱高煦と朱高燧の謀反は失敗に終わり、宣徳帝の治世がようやく落ち着いて始まることになります。しかし、祖父と父が課した「身内を殺してはならない」という枷が、宣徳帝にとって次第に重くのしかかってきます。
胡善祥の流産問題、諦めない二人の叔父問題と、宣徳帝には悩ましいことばかりですが、ようやく夫婦らしくなった若微が心の支えに… と思いきや、なかなかそううまくもいかなさそうです。迷える宣徳帝が導く大明帝国の明日はどっちだ?
【大明皇妃 -Empress of the Ming-】(ネタバレあり)
第37話「灯台下暗し」
朱瞻基は叔父・朱高煦に対して、父・洪熙帝が忍耐の末、8ヶ月という短い在位期間に叔父の基盤を崩して朱瞻基を勝利に導いた功績を語る。しかしまだ諦められない朱高煦は、「いっそ殺せ」と挑発するが、朱瞻基は自害するなら家系図から抹殺すると脅し、「しかと生きろ」と勅命を言い渡す。
自分がしたくなかった生き方を叔父に命じるのは、一種の復讐でしょうか…
若微は、安歌は自害したので土に埋めたと語る。安歌を哀れに思い、警戒心を緩めいい人になった結果に、胡善祥は後悔で涙する。若微は昨夜侍医に「何があっても皇后を助けよ」と言ったことを語るが、胡善祥は、「姉さんは自分のためお腹の子を殺したかったのだろう」と曲解し、当たり散らして号泣する。胡善祥は安歌と流産のことを隠蔽することにし、若微にも強く口止めを迫る。
姉に甘えるにしても、言っていいことと悪いことがあると思いますよね~
于謙は聖旨を携え、漢王府に朱高煦を連れ帰る。宣徳帝の聖旨は、「漢王が反乱を起こしたのは、遠征に忙しく史書を学べずにいたためで、大臣と書を読んで学べ」というものだった。于謙が学習に付き添うことになり、朱高煦は屈辱で震える。
漢王府では朱高燧が兄を待っており、「もう瞻基には対抗できない」と譲歩を勧める。しかし朱高煦はまだ諦めず手を組もうと言う。
于謙は毎度毎度、こんな変なお仕事させられて大変ですね♪
朱瞻基=宣徳帝は、身内の闘争で戦勝の祝賀を行うのは不体裁だと祝賀大典を中止する。皇太后は葬儀の際の漢王・趙王の発言が街で噂になっていることに懸念を示す。その話を皇太后の耳に入れたのは皇太后の弟・張克倹で、朝陽門の税官就任を希望しているが、宣徳帝は苦笑して断り、別の役職を与えると言う。
朱瞻基にはろくな叔父がいませんね。叔父運が悪いのでしょうか…
宣徳帝は若微を訪れ、皇后(胡善祥)も呼んで食事をしようと言うが、若微は慌てて「皇后は風邪で静養が必要」と嘘をついて引きとめる。宣徳帝は若微が焼き餅で二人きりになりたいのかと思い、張克倹の件を愚痴り弱音を吐いてみせる。
普通は焼き餅だと思いますよね~。嬉しそうな顔なのがちょっとかわいそうです
侍医は「陛下不在の心労のため流産」と診療録を捏造するが、胡善祥はこれでは真相を隠し通せないと焦る。来月懐妊できる可能性があるため、胡善祥は侍医に「他の策」でうまく処理すれば、一生の贅沢を約束すると迫る。若微は胡善祥から密かに「他の男と子をもうける」という秘策を聞かされ仰天する。
秘密を隠すために嘘をつき、それを隠すためさらに嘘を上塗り…胡善祥、詰んでいますね
于謙は漢王府を訪れ、命じられた通り論語の第一章から講義を始めようとするが、朱高煦は尊大な態度のまま于謙を無視する。朱高煦は孔子と孟子批判を展開し、論語は出世のための道具なのに古訓のように仰ぐのはくだらないと切り捨てる。
朱瞻基は于謙に、一体何を期待してこの任務をさせたのか、よくわからない感じが
朱高燧は宣徳帝に謁見し、情報収集の役目をさせてほしいと申し出て、先々帝の遺詔、宮殿の出入り可能なある通路、反・遺児赦免の集会など、宣徳帝の知らない情報を提示する。明かされた反赦免集会を錦衣衛が取り押さえ、情報の正しさが判明する。朱高燧はその諜報は永楽帝からの任務だったことを告白する。
朱高燧は敵に回すとコワイ、味方にしてもコワイという、ヤバイ人だったのですね…
第38話「身代わり」
宣徳帝にさらに求められ、朱高燧は宦官の盗品の売買や妃嬪の密会に使われている西華門の扉の存在を明かし、「ある者」がそこから今夜皇后の寝宮に入っていったと語る。
その頃、流産隠蔽を企む胡善祥が、密かに男の入った箱を寝宮に運び入れていた…
朱高燧の怖いところは、朱高煦と胡善祥の関係のカードをまだ切らないとこですか
箱が開けられる前に寝宮に「皇后を刺客からお守りせよという勅命」のもと錦衣衛が乗り込み、箱の中から男の呻き声がして胡善祥は絶体絶命に。そこに若微が現れ、妊娠中の皇后に何かあったら、と錦衣衛を追い出す。
知らせを聞いた宣徳帝が駆け付け、箱は誰のものか問いただす。胡善祥が答えられずにいると、酔った胡尚儀が自分のものだと名乗り出る。宣徳帝は胡善祥の腹に刀を突き付けて迫るが、診療録に「心労で子が流れた」とあるのを見て愕然とし、胡尚儀を捕らえさせる。
胡尚儀がまるで、外敵から我が子を守ろうとして翼を広げる母鳥のように見えます…
于謙は懲りずに再び漢王府を訪れ、「春秋左氏伝」を講義しようとするが、朱高煦が酒を飲んで耳を貸さないのを見て帰ろうとする。朱高煦はそれを引きとめ「永楽大典に何が記してあるか一言で言え」と問う。朱高煦が6歳の時に永楽帝に聞かれて答えたのは「帝位争い」の4文字だと聞いて、于謙は苦笑して罰杯を受ける。
朱高煦が6歳の時永楽大典はまだなかったのでは… 于謙は飲みたかっただけかな~
皇后についての情報が正しかったため、宣徳帝は再び朱高燧を召して情報を引き出そうとする。宣徳帝が欲しているのは朱高煦についての情報だが、朱高燧がそれについて避けているため、自分の信頼を得たいなら「手土産」を用意して誠意を示せと脅す。
朱高燧は皇帝の威光にビビっているように見えますが、内心ではニヤニヤだと思います
于謙はすっかり酔いつぶれ、朱高煦のことを「朱兄」と呼ぶほどになっていた。朱高煦はこの先いずれ宣徳帝に殺された時のため、別れの記念として妻を贈ろうと言い出す。朱高煦の娘を王府に引き取っていたのを養ってくれと頼まれ、于謙は酔った勢いで承諾する。
えっ、それ受けていいの?どう考えてもスパイを送り込まれる話じゃないのかな?
若微は拘束されている胡尚儀に面会する。罪をかぶって服毒死する覚悟の胡尚儀は、若微に胡善祥を失った喪失感と愛情を打ち明け、「私はこれ以上、何もしてあげられない」と伝言を託す。胡尚儀は若微が胡善祥の実の姉だと知り、「あの子に寄り添ってくれる人がいた」と喜ぶ。その後、冷たくなった胡尚儀が発見される…
胡尚儀はすべてを引き受けて天に… 実は彼女はとっても情に厚い人だったのですね…
朱高燧はまた宣徳帝の寝所を訪れるが、朱高煦の企みについてはまだわからない点が多いとかわす。そこで宣徳帝は皇后の診療録を朱高燧に渡して調査を命じる。
これは…! 安歌のことが発覚するフラグ!胡善祥、かなりの大ピンチですよ…
胡善祥が食事も薬湯も拒否しているため、宣徳帝は説得のため若微を遣わす。胡善祥は夜明け前に胸苦しさを感じて胡尚儀の死を察しており、心の一部が死んでしまったと嘆く。若微から伝言を聞いた胡善祥は、己の罪を庇ってくれた存在の喪失に号泣する。
胡尚儀を失った胡善祥は、今後どうなってしまうのでしょうか
朝議において鄭和が、交趾に逆賊が発生した件について奏上し、中南半島の不穏な動きを何度上奏しても皇帝のもとに上がらなかったと訴える。上奏を受けた洪熙帝は財政面を考えて軍を呼び戻したが、結果的に状況は悪化したのだ。拡張路線で危機に陥った国家財政は改善していなかったが、宣徳帝は先人が得た地は失えないと、自分の陵墓の建造を先延ばしし、鄭和に再び航海に出ろと命じる。海に出ないと生きられない鄭和は感謝し、明の貿易や国防を盤石にすると誓う。
久々の鄭和登場!朱瞻基が宣徳帝として非常に「らしく」なってきましたね
深夜に突然何者かが于謙の寝床に現れ、漢王府から贈られた花嫁を置いていく。彼女は名前がなく、父(朱高煦)から于謙に名をつけてもらえと言われたという。困惑した于謙は彼女に寝台を譲り、自分は床で寝ることに。冗談だと思っていた于謙は呆然とする。
于謙も酒での失敗は三度目…朱高煦だけに、本気なのか裏があるのかわからないですね
若微が宣徳帝を訪ねると、鄭和からもらった航海図に向かい計画を立てていた。地図を見せてもらった若微は明の小ささに驚く。鄭和を航海に出して宿願をかなえたいと上機嫌の宣徳帝に、若微は「皇后の禁足を解いてほしい」と切り出す。
皇帝がご機嫌な時におねだりとか、若微も後宮の振る舞いがわかってきたようです♪
第39話「同志との別れ」
胡尚儀の自害や流産の隠蔽などで怒っていた宣徳帝には、若微が胡善祥を庇う理由がわからない。宣徳帝は若微に、鄭和の航海に同行する徐浜に会って別れを告げるように命じ、若微は宣徳帝を前に動揺を抑えて平静を装う。
ライバルは庇うし、徐浜には未練がありそうだし、宣徳帝からしたらジェラシーですよね
宣徳帝はその夜、胡善祥を寝所に召す。皇后は質素な衣で髪にも何も飾らず、宣徳帝が授けてくれた命を流してしまったことを泣いて詫びる。自分への想いをかき口説く皇后を乱暴に抱きつつも、宣徳帝のまなざしは冷淡だった…
翌朝、皇后が寵愛されたと聞いて若微は安堵するが、侍女の葉秋が皇后への不満を口にするが、安歌の処理に手を貸した葉秋を後宮に置いておけない。若微から急に故郷へ帰るように言われ、葉秋は驚き涙する。
徐浜のことがあったから、皇后を厚遇することで若微に嫉妬させようとしたのかな?
別れを告げに来た徐浜に、航海に出る時は連れて行ってくれる約束だと食い下がる若微だが、徐浜は若微を想っていても、皇妃となった今、そばにはいられず、二人の間には埋められない距離があった。若微は「生きては当にまた来たり帰るべし、死しては当に長く相思うべし」と蘇武の詩に思いを託し、去り行く徐浜への餞とする。
1430年・宣徳五年、鄭和第七次出航、アフリカ南端に到着。宣徳帝の治世により、明は後に「仁宣の治」と称される盛世を迎える。
若微はもう夫婦としてやっていく覚悟を固めたと思っていたのに、想いはまだ徐浜に…
漢王府では、朱高煦が大暴れし、手を付けられない状態になっていた。自室に閉じこもり宣徳帝を罵るので、漢王妃はたまらず使用人を外に出す。
今まで色々あったので、これもまた漢王夫妻の夫婦芝居なのではと疑ってしまいます
胡善祥は身分を伏せて、水陸会で胡尚儀の供養をするため黄梁観を訪れるが、胡尚儀について姓以外何もわからず、骨すらも残らなかったことに涙する。話を聞いた道士は、「邯鄲の枕」の話を聞かせ、「人生は夢の如くはかなきもの」と諭す。
邯鄲の夢の話を出すために、胡善祥が仏教ではなく道教の寺院=道観に行って、道教の道士に説教されたのでしょうか。道教だから仏教のように剃髪じゃないのですね
宣徳帝は蝗害に遭った郊外の視察に出ていたが、帰還しまず皇太后に挨拶する。そこで若微の懐妊を知らされ、喜びで飛んでいくが、若微は熱が出て横になっていた。目覚めた若微に、宣徳帝は子に自分が名前をつけたいと言う。いまや皇帝となった孤独と弱音を率直に打ち明けられるのは若微だけだった。
祝・懐妊!でもこの子が将来若微をとことんまで悩ませることに…
于謙は三楊に呼び出され、「漢王が四日間絶食」という事件を知らされる。視察中の宣徳帝には伏せていたが隠し通せなくなった上に、朱高煦が喚き散らす内容が噂になり、漢王のかつての配下たちが明日行動を起こすというのだ。于謙は三楊に、陛下が即位の件を隠すため、真相を知る自分たち四人に死を求められたら?と問いかける。
翌日の朝議で、漢王派の朝臣から漢王の禁足解除を強く奏上され、宣徳帝は激怒する。
漢王一派は本当に諦めが悪いですよね。そんなに世の中をひっくり返したいのか…
宣徳帝は、三楊が漢王の件を伏せていたことを激しく叱責する。しかし民に漏れている漢王の独り言の内容は皇帝への誹謗中傷のため、三楊は手に負えないと宣徳帝に一任する。謀反の処分を曖昧にしてきたのをいいことに、漢王一派は遺詔の件を蒸し返し、このままでは漢王に共鳴する将軍たちにより軍の混乱も招きかねない。そこで宣徳帝は絶食をやめさせるために自ら漢王府を訪れる…
棺に入れられた時みたいに、絶食といいつつ漢王妃に食事運ばせているような気が…
37~39話の感想
宣徳帝の治世に刺さった棘=「二人の叔父たち問題」がやはりじわじわと安寧を蝕んできました。朱瞻基は自分だって南京で無為に残りの人生を送ることはできないと思ったのだから、叔父たちなら尚更無理でしょう。朱高煦と朱高燧、それぞれのやり方で爪痕を残しにかかっています。そして朱高燧の情報戦に完全に取り込まれているのがかなり怖いですね。彼がいまだ伏せる「朱高煦&胡善祥」カードを切る時が来るのが心から恐ろしいです。
そして、朱高煦は暴れに暴れた挙句、なぜか于謙に隠し子を贈るという行動に。これはスパイを送られたのか、それとも朱高煦が今後の覚悟を固めたために、思い入れのある不憫な娘の行く末を、于謙を見込んで託したのか、どっちでしょうか。後者ならかなりいい話のように思えますが、朱高煦の「覚悟」が大問題なわけで…
その叔父たち問題にリンクする形で流産隠蔽を暴露された胡善祥は、代償として胡尚儀を失うことになってしまいました。命がけで罪をかぶるような大事な存在を失うことで、これまでを反省したとしても、すでに手を染めた罪は消せないでしょう。胡尚儀の思いが胡善祥に少しでも伝わっていることを願うばかりです。
しかし胡尚儀もいなくなってしまって…まだ中盤なのにどんどん寂しくなっていきますね。
現時点で、皇后・胡善祥は表向き許された、ということになっているようですが、朱高燧の調査の手が真相を暴くのも時間の問題のようです。そして宣徳帝が許した情の部分でも、実は徐浜に対する嫉妬心から若微の気を引くためだったような…。若微が本音を隠したままでいるので、宣徳帝自身も夫婦関係に自信が持てていないのではないでしょうか。いつかは本音でぶつからないと、歪みが表面化して取り返しつかないことになりそうです。
若微が徐浜との別れに贈った詩は、蘇武の「留別妻」の一節ですが、「あれ?これ聞いたことがあるかも」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。当ブログでも扱った「麗王別姫」で、長安に置き去りにされた珍珠が李俶に託した詩がこれでした。「王女未央」「孤高の花 ~General&I~」などでも使われている、漢詩の名作です。出征前に妻への愛をうたいあげた感動的な内容ですが、この詩を引用するカップルはほぼ悲恋に終わるフラグ… いくらお互い想いあっても、若微のお腹には新しい命が宿っているわけで、徐浜とどうなるかといっても今更どうにもならないですよね!
さて、宣徳帝の在位期間も決して長くはないため、叔父問題、胡善祥問題もそろそろ決着の時を迎えそうです。先代、先々代のツケを払わされた優しすぎる皇帝・宣徳帝はどういう幕引きをはかるのでしょう。永楽帝も孫が可愛かったら、息子の始末はちゃんとしていってほしかったですよね♪
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