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クルミットです♪
あんなにおバカさんだった朱祁鎮ですが、チムグと子供という家庭を得て、さらに徐浜の再教育を経て、いい方向に成長しました。自由気ままなオイラトでの暮らしの中で、「このまま草原で」という気持ちも首をもたげつつあるようですが、息子の帰りを待ちわびる母の思いや、オイラトと明の政治的な問題から、明への帰還以外に選択肢はなさそうです。
気が付くともう残り5話!帰らない朱祁鎮問題がゆるゆると長引いてきましたが、終幕に向けて一気に動き出しますよ!祁鎮も祁鈺も「朱家の男」なので、間違った方向から戦いを挑み続ける遺伝子に操られ続けるのです。そしてその戦いに巻き込まれ続けるだけのヒロイン・若微の戦いはまだまだ終わらなさそうです…
【大明皇妃 -Empress of the Ming-】(ネタバレあり)
第58話「宮中の惨事」
景泰帝の皇子・朱見済の立太子を祝う宴が開かれ、景泰帝・朱祁鈺と胡善祥は上機嫌だったが、当の皇太子とその母である皇后が姿を現さない。様子を見に行った宦官が顔色を変えて若微に耳打ちし、若微は動揺を隠しながら景泰帝に皇后と皇太子が毒で自害したことを報告する。祁鈺は妻子の亡骸を確認して打ちのめされ、胡善祥に怒りをぶつけて泣き崩れる。西暦1453年景泰4年、皇太子と皇后 永眠。
胡善祥の折檻が主原因でも、朱祁鈺自身が妻子を守れなかったせいですよね…
罷免された徐有貞は、質屋に家財を売って暮らしていた。それでも皇帝に命じられた星の観察を続けていたが、うるさいと石を投げられ、挙句は九門都督府に突き出される。すると都督に就任していた石享が徐有貞に気付き、なぜか占ってもらうことに。徐有貞は不敬にも皇帝か皇后の崩御を予言するが、そこに宦官の曹吉祥が「宮中の惨事」を伝えに来る。石享は治安維持のために出動するが、賽の目の幸先のよさに意気が上がる。
徐有貞、石享、曹吉祥という不吉な三人が出そろいましたね♪
若微は双喜に張若虚の「春江花月夜」を朗読させるが、ひとり寝付けずにいた。
そして皇后と皇太子の葬儀が盛大に執り行われるが、胡善祥は喪服に着替えることもせず、呆然と座り込んでいた…
息子に嫌われても、胡善祥的にはそこまで落ち込むことないのではと思わなくもない…
朱祁鈺が祁鎮の費用を出さないので、若微は私財すべてを投げうって身代金にあてる。胡善祥の専横に不満の女官たちが、装飾品を持ち寄って協力を申し出るが、若微は気持ちだけを受け取り、徐浜に目録とオイラトとの交渉を託す。
女官たちが金品を出し合うって相当なことですよ。胡善祥すごく嫌われていたのですね
徐浜はオイラトの軍営に戻るが、エセンが目録を見て失望したため、私財を投げ打つ皇太后の誠意を説明する。エセンが太上皇の帰還を許さないのは、まだ若い朱祁鎮がいつかオイラトの脅威になることを恐れたためだった。
朱祁鎮がエセンに脅威を抱かせるほどの存在に成長したとは、感慨深いです
祁鎮とチムグが徐浜を迎えてささやかな宴を用意してくれたが、バヤン・テムルがエセンの意向をばらしてしまう。祁鎮とチムグは二人で話し合い、二人で明に戻ることに。朱祁鎮とエセンと徐浜は血の誓いを立て、明とオイラトの友好を誓う。エセンはチムグの意志が固いことを確認し、三人で血を垂らした盃を飲み干す。
よく考えると、皇帝でない祁鎮に不戦の誓いを立てさせても意味はないような…
祁鎮は解放され、チムグと共にオイラトの軍営を後にし、エセンは「つらくなったら帰ってこい」と孫娘を送り出す。徐浜は祁鎮に若微から託された文を手渡す。そこには帰らぬ子を思う母の苦悩が切々と綴られていた。
なぜ文を帰途になってから渡す?と思ったのですが、徐浜は祁鎮が帰らないって言い出した時に、説得の切り札にとっておいたのかな?と推測してみました
妻子を失って放心状態の景泰帝・朱祁鈺は生きる気力を失い、玉座で妻子の幻を見るだけの日々を送っていた。そこに太上皇・朱祁鎮が北京城に帰還する。竜袍に着替えて身なりも整えた朱祁鎮は、皇帝になった弟との再会を果たす。
宦官さんたち、皇帝のおぐしを整えてさしあげて…
第59話「再会」
北京城に帰還を果たした太上皇・朱祁鎮は、景泰帝・朱祁鈺と再会し、三辞三譲の儀を行う。景泰帝が国璽を差し出して三度復位を促し、それを太上皇が三度辞退して、禅譲が正式に成立。朱祁鎮は決して復位しないと宣言し、南宮に隠遁し国事には関わらないことに。
中国で、皇帝が生存中に譲位で太上皇になる例は11例ほどで、意外とあるのですね。そういえば「麗王別姫」でも唐の玄宗が安史の乱で、途中退位して上皇になっていました
若微は南宮で祁鎮とチムグを待っていたが、ようやく果たせた再会に涙にくれ、初めて抱く孫に幸せをかみしめる。しかし祁鎮一家に与えられた南宮は寒々と荒れ果てていた。若微と一家はささやかな夕餉を囲み、祁鎮はその場にいない徐浜を呼ぼうとするが、南宮が禁宮となり、外部からは誰も入れない。その様子を景泰帝の太監・興安が隠れて見ていた。
せめて蜘蛛の巣を払っておいてあげるとか、最低限のお掃除くらいすればいいのに
チムグが肉料理を草原でしていたように短剣で切り分けるのを見て、若微は「皇宮では衛兵以外は帯刀できない決まり」と教える。そこで祁鎮は、短剣を金英に褒美として授ける。チムグは、徐浜にはどんなに世話になったか、祁鎮がエセンに殺されそうになった時も守ってくれたと語り、エセンの思い出話に故郷を思い涙する。
金英はずっと出ていたのかもしれませんが、双喜登場時以来の個体認識です!
徐浜に月餅を食べさせたいからと託す息子の成長を、若微はしみじみ感慨深い。祁鎮が、徐浜と寒い天幕で夜遅くまで語りあった時、自分を歴史上の皇帝に、徐浜をその名軍師になぞらえたという話に、若微は驚いて「二度と言ってはだめ」と諫めるのだった。
朱祁鎮はさすが朱家の男だけあって、まだまだ玉座を諦めきれていないのですね~
石享はすっかり徐有貞の星見に心酔し、徐有貞が出世を予言した宦官の曹吉祥を仲間に取り込もうとしていたが、曹吉祥は徐有貞を詐欺師だと怪しんで近づこうとしない。
石享は単純ですね…徐有貞と組んでも何もいいことないと思うのですが♪
若微は徐浜に会い、「息子が戻ったらさらに辛くなった」とぼやく。徐浜は「君の息子はもう龍になった」と、朱家の血が欺瞞や殺戮を心身で欲するのだと言う。若微は復位の野心を煽るようなことは絶対に駄目だと、徐浜に釘を刺す。
祁鎮は父親に似てきた?…確かに酔っぱらった時が似ているような♪
興安は朱祁鈺に南宮でのことを報告する。話題はすべてオイラトの暮らしについてだった、と聞いても、祁鈺は「皇太后は謀反を考えている」と思い込み、興安に金英を拷問にかけるように命じる。祁鈺は丹薬の服用に溺れ、挙動不審になっていた。
興安は金英を拉致し、彼の持ち物にあったチムグの短刀を暗殺の証拠と決めつけて拷問するが、若微に忠実な金英は謀反を認めようとしない。そこで興安は虚偽の供述書に金英の拇印を無理やり押してしまう。
祁鈺もまた朱家の血が騒いできましたね。金英かわいそうに。双喜が泣きますね…
その供述書は石享の手に渡り、事情を聞くために南宮を訪れた石享は、太上皇の悲惨な生活を知って同情し、虚偽の供述をした金英を処刑することで身を守ることを提案する。もうすでに金英を救う手はないと知り、祁鎮は石享の策を受け入れることに。
祁鎮は金英の見舞金にするため石享に金を借り、さらに北京防衛戦の働きに感謝して叩頭までする姿に、石享は感涙にむせぶ。
なんということでしょう、まるで名君のようではありませんか。朱祁鎮リフォームが完成し、このビフォーアフターの落差!この場合徐浜とチムグが「匠」でしょうか
チムグは子供のおもちゃにと、木で馬やシャガイを作っていた。それを見て祁鎮は草原の暮らしを思い出し「戻らねばよかった」と本音を漏らす。今の祁鎮は「転生を望むなら帝王家には生まれるな」という漢族の言い伝えが身に染みていた。弟は祁鎮が「皇帝になりたくない」と言っても、きっと信じないのだ…
オイラトに残っていたら、朱祁鎮はどんな人生を送ることになっていたでしょうね
第60話「白雪に散る」
弟・朱祁鈺との確執が理解できないチムグは、それなら母・皇太后に毛布などを頼んでみてはと言う。しかし母・若微はいまや実権を失い何もできないため、祁鎮は苦悩を深める。二人はシャガイで遊び、草原を思って笑顔を取り戻す。
若微は国と祁鎮を救うために実権を手放したのに、それが今こんなことに…
若微のもとに金英の供述書が渡り、祁鈺の寝宮に乗り込むが、床に転がっている皇帝に呆れて水を浴びせて叱りつける。玉座での居眠りや、不老不死の丹薬を1ヶ月分服用するなど、祁鈺の奇行は宮中でも評判になっていた。しかし若微の叱責にも嬌声をあげて笑う皇帝になすすべなく、若微は「母上に会いに行きなさい」と言うのがやっとだった。
玉座には人を狂わせる何か、魔物が棲みついているのでしょうか…
チムグは、自分が死んだら南宮の庭にある木の根元に埋めてほしいと言い出す。祁鎮が「チムグだけでも故郷に帰すことができる」と言ったため、チムグは「死んでも離れない」と言う。祁鎮は「もうすぐ雪が降ればオイラトと同じ景色になる」と慰める…
「チムグだけでも」っていうけど、多分子供は置いていく話になるわけですし
若微は落ち着いた祁鈺を改めて訪ね、「なぜ息子に無実の罪を着せるのか」と問いただし、自分たちは南京に行ってもいいと提案する。しかし祁鈺は、妻子を失った悲しみと怒りを、妻子と暮らす祁鎮に向け、自分の孤独の原因は母を廃后にさせた若微にあると責める。憎悪を暴走させる祁鈺と話し合うことを諦め、若微は立ち去るしかない。
親子で自業自得なのに、さすが胡善祥の息子、憎悪の間違った拗らせ方がそっくりです。
祁鈺は金英の処刑だけではことを済ませず、興安を南宮に行かせ、謀反の証拠を探すよう命じる。しかし何も見つからず、焦った興安が金英の短刀の持ち主を問いただし、チムグが祁鎮を庇って自分のものだと言ったため、兵に連行されてしまう。祁鎮は兵たちに阻止されてチムグを守ることができず、かろうじて赤子だけが手元に残された。捜索に同行した石享は、事を荒立てられず口惜しさをこらえる。
祁鎮からチムグを奪っても、それで皇后と見済が生き返るわけじゃないのに…
朱祁鈺は南宮での一件を、都合よく謀反の筋書きを作り上げ、自ら皇太后に報告する。そして普段は面会を禁じている南宮へ行くように勧め、「恨まないでくれ、くれぐれも身辺に注意を」と兄・祁鎮に伝えるようにと言う。若微は怒りをこらえるのがやっとだった。
朱祁鈺ってこんな顔でしたっけ?最初の頃から見るとまるで別人のようです
南宮にはチムグの亡骸が帰って来た。祁鎮は、チムグが埋めてほしいと言っていた庭の木を切り倒そうと、怒りをぶつけていた。二人で待っていた雪が降って来たのを見て、これまでこらえていたものが心で湧き上がる。
一方祁鈺は丹薬の飲み過ぎでさらに暴走し、太監や宮女たちを怯えさせていた。
祁鎮をわざと煽って目覚めさせ、謀反を起こさせようとしているかのように見えますね
若微は南宮を訪ね、チムグを埋葬するように勧めるが、祁鎮はこのままでいいと言い、何か吹っ切れたように淡々と「自分は朱家の落後者だ」と語る。若微は息子がチムグの後を追うのではと心配するが、自ら「犬のような人生」と語る生き方を受け入れているような祁鎮の本音が見えず、若微は不安になる。
落後者でもいいじゃない… 朱家の落後者は、今までもたくさんいたから大丈夫♪
雪の夜、南宮に石享、石彪、曹吉祥、徐有貞の四人が密かに集まる。祁鎮はそれぞれの顔触れを覚えていると言ってなごませた後で、指を切って酒に入れ、盃を配り血の誓いを立てるよう促す。もし決起が失敗した場合は石享に子供を託し、オイラトで仇討ちをさせるように指示し、「失敗したら皆で死のう」と祁鎮と同志は盃を空ける。
同志になるのがこの顔ぶれだけですか?どう見ても不安しかないのですが…
景泰8年の新年、年賀の儀が行われ、大臣が明の太平と栄えを祝う祝辞を述べるが、玉座の横に座る胡善祥は俯き生気がなく、玉座の景泰帝もうつろだ。儀式を終えた若微を于謙が訪れ、退官を願い出る。海賊の脅威と役人の関与を上申しても、景泰帝が手元で止めているため、于謙は「陛下はこの国を自分と共に滅ぼそうとしている」と見て、皇帝の立ち直りを促すため、朝廷から去ろうとしているのだった…
明が一見太平に見えるのは、皇帝が外征する気力ゼロだから、っていうところが悲しい
58~60話の感想
朱祁鎮が帰還し、久しぶりに兄弟同士で骨肉の争いが始まってしまい、「やっぱり朱家はこうじゃなくちゃ」という感じを堪能してしまいました。それでも、本音で皇帝になりたいわけではない同士の生き残りをかけてのバトルなので、若干物足りなさが…
皇帝のことを「龍」と称しますが、皇帝だからといって生まれつき龍に生まれるわけではなく、即位したからといって龍になれるわけではないようです。おそらく朱祁鎮は、即位した時には龍ではなかったけれど、生き残るために内なる龍が目覚めてしまったのでしょう。そして朱祁鈺は、龍になれないのに即位してしまい、皇帝になりたくないのに玉座に魅せられてしまったのが不幸でした。
朱祁鈺は本当に胡善祥に似ていて、責任転嫁と逆恨みが得意ですよね。祁鈺は毒親の被害者でもありますが、自分自身が妻を守らなかったことが悲劇の原因にもなっているのに、すべては母のせいであり、その母を歪ませたのは皇太后のせいだと転嫁することで自分を被害者ポジションに置こうとしています。
そうなっても仕方のない悲劇ですが、だからといってチムグを奪ったところで皇后と皇太子は帰ってこないのに… 国を滅ぼしてみたところで、自分が皇帝であることからは逃げられないのに…
さて次回、とうとう奪門の変が勃発し、この長かった朱家の家族物語も終わりを迎えます。
朱祁鎮が龍の爪を揮って皇帝に返り咲くことになるわけですが、その同志として集まった顔ぶれがあまりにショボすぎて、あんなので本当に大丈夫なのでしょうか。徐有貞だけは味方にするべきでないような気もします。そんなショボショボなメンツに倒されてしまうほど朱祁鈺が駄目だった、というのが奪門の変ということなのかもしれません。
この物語の始まりが靖難で、宣徳帝皇妃二人が靖難の遺児設定のせいか、「全部靖難のせいね」という結論に落ち着いてしまいそうな気がします。それと、靖難の役を起こすように唆した、あの綱渡り坊主のせい。
最後の最後に、どんな結末が待ち受けているのか、しっかりと見届けていきましょう♪
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