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『楽游原』第28話は、戦乱の終わりを告げる“静かな転換回”。
崔琳(さいりん)が女将としての誇りを胸に、崔家軍を泺陽(らくよう)から自主撤兵。
一方で、李嶷(りぎょく)との関係にも柔らかな光が戻り、政治と恋心が絶妙に交錯します。
華やかな宮廷の宴で見せた崔琳の笑顔は、凛として美しく、そして少し切なかった――。
それでは第28話を一緒に見ていきましょう!
楽游原 第28話のあらすじ
崔琳が新皇への謁見を求めたことで、朝堂は大混乱。
兵部は「崔琳は実質的に崔倚(さいい)の後継、男子同様に扱うべき」と主張。
だが礼部は「女子の謁見など前例がない」と真っ向から反対。
さらに戸部は「崔家軍の経費は税から天引きしており、会計が曖昧だ」と追及し、
六部は互いに罵り合い、収拾がつかなくなります。
そんな中、李嶷は穏やかな声で口を開きました。
「昔、女子が国難の際に朝堂へ出た例もある。
崔琳の母は烈女であり、その娘に資格がないとは言えぬ。」
冷静な一言が場を鎮め、李嶷の真摯な人柄と、崔琳への変わらぬ想いが伝わる瞬間でした。
顧相(こしょう)は李嶷の意見を裏付けるため、
過去六十年分の文書を調べ上げ、本当に女性の謁見例があったことを突き止めます。
その一件で、彼は李嶷の崔琳への深い情を知り、
娘・顧婉娘(こえんじょう)にこう告げました。
「婉娘、あの人の心はもう別の誰かのもとにある。」
しかし顧婉娘は穏やかに微笑みます。
「まだ終わっていません。彼と崔琳殿の運命は、誰にも分かりません。」
やがて謁見の許可が正式に下ります。
その知らせを受け取った崔琳は、
「李嶷が私のために動いてくれていたのね」と小さく微笑みました。
謁見の日の朝。
李嶷は鏡の前で髪を整え、
「今日、あの人がどんな姿で現れるか……」と、久々に心を弾ませて出仕します。
大殿に入ると、そこには見慣れぬほど女性らしい衣をまとった崔琳の姿。
彼女は毅然とした態度で跪き、
「泺陽と岽都(とうと)は、孫靖の乱を鎮めるため一時的に崔家軍が代行しておりました。
今、天下はすでに安泰。よって、我が崔家軍は泺陽を朝廷へお返しいたします。」
その言葉に新皇は大いに喜び、
「崔家は忠義の家なり!」と声を上げます。
権力への執着ではなく、“義”を選ぶ崔琳。
彼女の言葉に、女将としての誇りと潔さがあふれていました。
新皇はその功を称え、
「今宵、宴を設けよう。
諸家の令嬢たちも招き、崔将軍をもてなすとしよう」と命じます。
しかしその裏には、京中の名家たちに“崔琳の力を抑える”意図もありました。
宴の夜。
崔琳は久々に女の装いで登場し、
その凛とした美しさに会場は一瞬静まり返ります。
李俊(りしゅん)は彼女に取り入ろうと、
「将軍殿のお手並み、拝見したい」と軽口を叩きます。
皇后は場を和ませようと「奪彩戯(だっさいぎ)」を提案。
紅布に包まれた彩玉を取り合う遊戯が始まりました。
李俊は崔琳の隣に陣取り、
「今宵は私の勝ちを見せます」と笑みを浮かべます。
しかし李嶷の目には、そのやり取りが気に入らない。
彼は立ち上がり、「ならば私も加勢いたそう」と名乗り出ました。
李俊はたじろぎますが、崔琳が助け舟を出します。
「では、私が李俊殿の相手をします。」
その瞬間、顧婉娘が進み出て言いました。
「李嶷殿、私はあなたの味方をいたします。」
こうして、崔琳&李俊 対 李嶷&顧婉娘の即席勝負が始まります。
しかし、次第に勝負は二人の世界に。
顧婉娘と李俊は影のように静まり返り、
舞台上には李嶷と崔琳だけ。
二人は同時に彩玉を掴もうと飛び上がり、
空中で見つめ合います。
そこへ突風――帷幕が落ち、二人を包み込みました。
誰も見えない中、崔琳は一歩近づき、
李嶷の唇にそっと触れます。
そして囁くように「これで私の勝ち」と言い、
次の瞬間、彼を押し出して彩玉を奪いました。
あの短い一瞬のキス。
“勝利の証”であり、“別れの挨拶”でもあったように見えました。
崔琳は皇后から贈られた簪(かんざし)を二つに分け、
一つを李嶷へ、もう一つを顧婉娘へ手渡します。
「どちらも、この宴で一番輝いていた方々です。」
皇后は大いに感心し、
「気が利く娘だ」と笑ってその場を和ませました。
宴が終わると、李嶷は静かに席を立ちます。
「華やかすぎる場は、どうも性に合わぬ。」
顧婉娘は追おうとしますが、側近に止められ、
代わりに崔琳がそっと後を追います。
月明かりの庭で、崔琳は微笑みました。
「ありがとう。あなたがいたから、私も堂々と話せた。」
李嶷は照れ隠しに顔をそらし、
「私はただ国のためを思っただけだ。」
その頑なな態度に、崔琳は思わず吹き出します。
ほんの一瞬、戦も権力も忘れて笑い合う二人。
再び惹かれ合う温かさが戻っていました。
宴の帰り、李俊が崔琳を追いかけ、
「明日、慈恩寺まで送らせてくれ」と申し出ます。
崔琳は笑顔で頷きました。
しかし、そのやり取りを李嶷が見てしまいます。
表情を変えずにその場を去る彼。
翌朝、李俊は約束通り迎えに行きますが、
「崔琳様はすでに出立された」と告げられ、呆然。
一方、李嶷は胸騒ぎを覚え、馬を飛ばしました。
崔琳はすでに**楽游原(らくゆうげん)**に。
「今日は、身分も立場も忘れて遊びませんか?」
その言葉に、李嶷はゆっくりと頷きます。
二人は笑いながら市場を歩き、魚を掴み、風に吹かれ――
ほんの一日の束の間の自由を楽しみました。
まるで最初の頃の二人に戻ったようなシーン。
嵐の前の静けさのような穏やかさが、逆に胸を締めつけました。
楽游原 第28話の感想まとめ
第28話は、崔琳の“女将から一人の女性へ”の変化が丁寧に描かれた回でした。
泺陽を返還し、政治的責任を果たしたうえで、
宴では一人の女性として華やかに振る舞う――その姿に凛とした美しさが宿ります。
戦場で剣を振るい、宮廷で理を語り、宴の中で笑う。
崔琳の“生き方の三面”がすべて詰まった回でした。
また、李嶷との再会シーンは、言葉少なでも深い愛情がにじみ、
視線一つで心を通わせる二人の距離感が絶妙。
そして、再び楽游原での再会――
あの場所が「愛の原点」であることを再確認させてくれる演出も印象的でした。
次回、第29話では、慈恩寺をめぐる波乱と新たな陰謀が動き出します。
笑顔の裏に潜む緊張の糸が、再び切れる瞬間――
運命の歯車はもう止まりません。
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