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『楽游原』第29話は、ついに訪れる“決裂”の回。
愛し合っていたはずの李嶷(りぎょく)と崔琳(さいりん)が、
立場と誤解、そして運命に引き裂かれていきます。
これまでの絆の深さがあるからこそ、その別れがあまりに痛い――
感情の波が一気に押し寄せる、切なさ極まる一話でした。
それでは第29話を一緒に見ていきましょう!
楽游原 第29話のあらすじ
柳承鋒(りゅうしょうほう)が率いる揭硕(けいしょく)勢が白水関を攻め落としたとの報が入り、
崔倚(さいい)は敵の動きを探るため偵察を急がせます。
その頃、柳承鋒は堂々と李崃(りらい)のもとを訪ね、
「あなたの兵を借りたおかげで白水関は落ちました」と笑みを浮かべます。
だがその口調の裏には、鋭い刃のような冷たさが。
李崃が警戒し、「お前の狙いは何だ」と問うと、
柳承鋒はあっさりと言い放ちます。
「お前が崔琳を娶っても、李嶷が生きている限り平穏はない。
だから、俺は李嶷を殺す。」
かつての義兄弟の絆は完全に消え、柳承鋒の心には“復讐”だけが残っていました。
一方、戦場を離れた李嶷と崔琳は、束の間の静かな時間を過ごしていました。
別れの時が迫る中、崔琳はふと問いかけます。
「もし、いつか私があなたを怒らせるようなことをしたら……
それでも、私を好きでいてくれる?」
李嶷は少し照れながら笑います。
「俺の気持ちは変わらない。
たぶん、ずっとお前を好きでいると思う。」
その言葉に、崔琳は微笑み、
「なら、また賭けをしましょう。
私が十まで数えてもあなたが目を開けなかったら、
もし将来敵同士になっても、私は三度あなたを許します。」
李嶷が数を数え始めると、崔琳はそっと彼の唇に触れました。
甘くて、どこか哀しいキス。
李嶷はゆっくりと目を開け、
「俺の負けだ。もし敵になっても、俺が三度お前を許そう。」
そう言って、彼も彼女を抱きしめ返しました。
別れ際、李嶷は小さな稲草人を崔琳に手渡します。
「寂しくなったら、これを見ろ。
これがお前を守る俺だ。」
この穏やかな別れのシーンが、後に待つ悲劇をいっそう際立たせていて胸が締めつけられます。
やがて、崔家軍が白水関で大勝利。
京城に喜びの報が届くと、新皇はすぐさま大赦を発布し、
**李俊(りしゅん)**を釈放します。
しかし李嶷は顔を曇らせます。
「兄上は信王妃を焼き殺した。
あの血の罪を、なかったことにするのか。」
新皇は逆に苛立ち、
「兄を責めるばかりではなく、
お前もそろそろ“兄を立てる”ということを覚えよ!」
空気が一気に張り詰めたその時、
裴献(はいけん)が上奏文を手に進み出ました。
「崔倚将軍からの奏疏でございます!」
崔倚の手紙には、こう記されていました。
「東宮を立て、溱王(李嶷)を太子とし、国本を固めるべし。」
この言葉に、新皇の顔が怒りで紅潮。
「崔倚は越権行為だ! 勝手に国の後継を定めるとは何事か!」
しかし顧相(こしょう)が冷静に進み出て、
「陛下、これは国の安定を思っての進言にございます。」
と諫めます。
次々と大臣たちも賛同し、朝堂は騒然。
李嶷はその場に膝をつきながら、
嬉しさよりも重圧に押し潰されそうな表情を見せました。
誰もが栄誉だと讃える中、彼の心にはただ崔琳の顔――
“この決定で、彼女がどれほど苦しむか”だけが浮かんでいました。
崔琳もまた、この報を聞いて動揺します。
父の決断が李嶷をどれほど追い詰めるかを知っていたからです。
彼女はため息をつきながら呟きました。
「父上……どうして勝手に……」
そして翌日、李嶷は怒りと悲しみのまま崔家へ。
「俺の預けた珠玉を返してくれ。」
崔琳は一瞬、言葉を失います。
彼が手渡した宝玉は、彼らの約束の象徴――愛の証そのものでした。
それを返せと言われた瞬間、
崔琳の目から涙がこぼれます。
彼女は唇をかみ、無言でその珠を差し出しました。
李嶷は懐から簪(かんざし)を取り出し、
「これも返す。これで、二人は“無縁”だ。」
背を向ける彼の目には、悲しみよりも深い諦めが宿っていました。
“二人はもう何の関係もない”――
その言葉が冷たいほど痛く、視聴者の心に深く刺さる別れの場面でした。
李嶷は屋敷に閉じこもり、誰の声も聞こうとしません。
裴源(はいげん)が何度訪ねても反応なし。
ただ、彼の胸には「崔琳を恨むこともできない」苦悩だけが渦巻いていました。
そんな中、新たな悲劇が起きます。
顧婉娘と乳母が作った笋干包子を、乳母が先に口にしたのです。
その直後、乳母は苦しみ、息絶えました。
李嶷は呆然と座り込み、
「なぜ……どうして、こんなことに。」
彼は悲しみのあまり包子を手に取り、一口食べます。
そこには異様な苦味――。
「毒か……」
真相を確かめるため、李嶷は決意します。
「乳母の遺体を、開けて調べる。」
ここでの李嶷の表情があまりに痛ましい。
愛も家族も信じられなくなった男の絶望が、静かに滲み出ていました。
崔琳もこの知らせを聞き、心を痛めます。
「また一人、彼を支えていた人がいなくなった……」
彼女は迷いながらも溱王府を訪れ、
遠くから李嶷の姿を見つめます。
李嶷も、ふと気づいたように顔を上げます。
だが――お互い一歩も近づかないまま、視線だけが交わりました。
まるで心の距離そのものを描いたようなシーン。
近くにいるのに届かない、そんな二人の悲しさが痛いほど伝わります。
その後、毒殺の真相が明らかに。
犯人は李俊が買収した乳母の息子でした。
狙いは李嶷でしたが、誤って母を殺してしまったのです。
激怒した李嶷は剣を掴み、
「兄上……お前だけは許せぬ!」
信王府へ乗り込むと、李俊は青ざめ、
「冤罪だ!俺ではない!」と震え上がります。
その時、裴源が駆け込み、李嶷の前に立ち塞がりました。
「殿下!今ここで血を流せば、朝廷は再び乱れます!」
李嶷は拳を握り、
「俺にはもう何も残っていない!」と叫びながらも、
最後には剣を放り投げます。
剣は床を滑り、李俊の手の甲をかすめて切り裂きました。
赤い血が落ち、静寂が訪れます。
怒りと悲しみの果てに、
剣ではなく涙を選んだ李嶷――彼の人間らしさが際立つ場面でした。
楽游原 第29話の感想まとめ
第29話は、愛・信頼・絆の崩壊を描いた重く切ない回でした。
崔琳の“父としての判断”と李嶷の“男としての矜持”が真っ向からぶつかり、
二人が互いを思いながらも決裂していく過程が痛々しいほど丁寧に描かれています。
珠と簪の「返還」は、二人の恋の終焉の象徴。
その静かな別れが、戦よりも残酷に感じられました。
さらに、乳母の死によって李嶷の心は完全に壊れかけ、
次回への不穏な展開を予感させます。
次回、第30話――
運命に翻弄され続けた二人の行方、
そして兄弟の確執の決着が、ついに描かれます。
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