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クルミットです♪
『楽游原』第30話は、涙なしでは見られない壮絶な回。
義と情の狭間で翻弄され続けた李嶷(りぎょく)が、
またしても血と裏切りに呑まれていく中――
忠臣・老鲍(ろうほう)が彼の命を守るために身を挺します。
命の炎が散る瞬間、その犠牲がどれほど尊いものだったか。
まさに「忠義」と「別れ」が交錯する、胸を裂く一話でした。
それでは第30話を一緒に見ていきましょう!
楽游原 第30話のあらすじ
李嶷が信王府での争いを起こした翌日、
桃子が慌てて崔琳(さいりん)のもとへ駆け込み、
事の経緯を報告します。
崔琳は落ち着いた表情のまま、
「裴源(はいげん)が行けば、きっと彼を止めてくれる」と断言。
李嶷の性格を誰よりも理解している彼女は、
「彼は情に厚い人。
悲しみに飲まれても、仲間の声を無視できる人ではない」と語りました。
李嶷の“心”を信じる崔琳の言葉には、
愛と理解が滲んでいて静かに胸を打ちます。
一方、乳母の死の真相を知った顧婉娘(こえんじょう)は震えました。
自分が贈った包子が、結果的に惨事のきっかけとなったからです。
「私は……殿下を守りたいだけだったのに……」
父・顧相(こしょう)は娘を慰めつつ、
「李嶷という男は真っ直ぐすぎる。
だから人に利用されやすいのだ」とため息をつきます。
そして冷静に続けました。
「今の新皇は兄弟を分け隔てて見ていない。
いや、むしろ李俊(りしゅん)を贔屓している。
李嶷が真実を突きつけたところで、己の立場を危うくするだけだ。」
顧相は策略を巡らせます。
「李嶷は泣きながら訴えればいい。
自らを卑下して新皇の情を動かすのだ。」
顧相の策は冷徹ながら現実的。
“正しさ”ではなく“政治”が支配する宮廷の非情さが伝わってきます。
数日後、顧相と裴献(はいけん)は新皇に拝謁。
二人はひざまずき、
「李俊を流放に処すべきです」と進言しました。
新皇は顔を曇らせ、
「ただの兄弟喧嘩だ」と庇おうとします。
しかし裴献はひれ伏したまま、声を震わせながら言いました。
「陛下がこれを“喧嘩”と仰るなら、
天下の忠臣は何を信じればよいのでしょう!」
その言葉に顧相も続けます。
「陛下、もしこのまま兄弟に片寄れば、
私も職を辞し、この身を退きます。」
新皇はついに折れ、
李俊を流放に処すことを決定しました。
出発前、新皇は「最後に母を弔わせてやれ」と、
李俊に劉氏(りゅうし)の墓参を許します。
同時に、「兄弟の絆を戻せ」と命じ、
李嶷にも同行を命じました。
一方で、この日――
奇しくも乳母の葬儀の日でもありました。
李嶷はどうしても彼女の棺を見送りたく、
「葬儀の後に合流すればいい」と出立を遅らせます。
しかし、そのわずかな遅れが悲劇を呼びました。
雨の降り出す中、李嶷は葬列を追いかけます。
だが、どこか胸騒ぎがしてならない。
周囲を見渡すと、木陰に黒い影。
刹那――
閃光が彼の頬を掠めます。
李嶷は即座に反撃。
剣を抜き、相手の喉を打ちました。
倒れた男の首元には揭硕の印章。
「やはり……奴らか。」
さらに背後から矢の雨。
李嶷は必死に防御しますが、数では圧倒的不利。
「謝長耳(しゃちょうじ)! すぐに裴源を呼べ!」
謝長耳は馬を飛ばし、雨の中を駆け抜けました。
ここからの戦闘描写は圧巻。
雨、血、土が混ざる中での肉弾戦が息を呑むほどリアルでした。
同じ頃、劉氏の墓前でも惨劇が起きていました。
突如、揭硕人の襲撃が始まり、祭祀の列は大混乱。
李俊は新皇を守るふりをしながら、
剣を振り回し、
「陛下を守れ! 俺に続け!」と叫びます。
しかし、李嶷が不在と知るや否や、
顔色を変え、密かに新皇を討とうと剣を構えました。
その瞬間――
李崃(りらい)が叫びます。
「裏切り者! 兄を殺す!」
二人は激しく斬り結び、
最後には李崃の剣が李俊の胸を貫きました。
倒れた李俊は、血にまみれた顔で呟きます。
「兄上も……同じ化け物だったのか……」
李崃は静かに剣を引き抜き、
「違う。俺は最初から勝者になると決めていた。」
兄弟の争いの結末。
「忠」「孝」「野心」が入り混じった血塗られた場面に、
この時代の悲哀が凝縮されていました。
その頃、李嶷も激戦の中。
部下たちは次々と倒れ、
「殿下、退いてください!」の声が響きます。
だが李嶷は叫びます。
「俺は逃げない!皆を置いてはいけない!」
雨の中で視界がぼやける――
そのとき、後方から崔家軍の旗。
「援軍だ!」
安堵の一瞬、横合いから飛んだ刃が李嶷の腹を裂きました。
血飛沫が弧を描き、彼は崩れ落ちます。
その瞬間、老鲍(ろうほう)が叫びました。
「殿下――!」
彼はためらうことなく李嶷を庇い、
背中に矢を受け、さらに二撃、三撃――。
それでも倒れません。
「まだだ……こいつだけは……守らねぇと……」
李嶷が必死に手を伸ばすも、老鲍は振り返り、
いつもの笑顔で言いました。
「殿下、牢兰関に帰ったら……
皆で酒を飲みましょうや。」
次の瞬間、彼の体が崩れ落ちました。
忠義という言葉が陳腐に思えるほどの壮絶な最期。
老鲍の笑顔が涙で滲んで見えました。
やがて雨は止み、戦場に静寂が訪れます。
李嶷は傷を押さえながら、
血の中に倒れる仲間たちを見つめていました。
老鲍の亡骸を抱きしめ、
「すまない……また、守られてしまった……」と呟きます。
空は灰色。
その中で、李嶷の頬を伝う涙と雨がひとつに溶けて落ちました。
楽游原 第30話の感想まとめ
第30話は、まさに『楽游原』の中でも最も壮絶で、
人の“忠義”と“絆”が極限まで描かれた回でした。
老鲍の最期は、派手な戦闘以上に心を揺さぶる静かな英雄譚。
彼の「牢兰関でまた会おう」という言葉は、
李嶷だけでなく視聴者の胸にも深く刻まれます。
忠義の象徴であった老鲍の死によって、
李嶷は“戦いの虚しさ”と“守ることの重さ”を痛感しました。
兄弟の裏切り、仲間の死、そして雨の戦場。
それでも李嶷は、生き残った者として前へ進まねばなりません。
次回、第31話――
崔琳と李嶷、再び運命が交錯する時。
血にまみれた誓いの果てに、希望はまだ残されているのか――。
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