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クルミットです♪
『楽游原』第31話は、涙と癒しが交錯する“再生”の回。
前回、忠臣・老鲍(ろうほう)を失った悲劇の直後、
崔琳(さいりん)が駆けつけ、血と雨にまみれた李嶷(りぎょく)を救い出します。
命を懸けた救出と、失われた仲間たちへの鎮魂――
そして、再び繋がったふたりの心が静かに描かれました。
それでは第31話を一緒に見ていきましょう!
楽游原 第31話のあらすじ
血と泥に染まった戦場。
李嶷は倒れた老鲍の亡骸を自らの手で丁寧に安置し、
地面に滴る血を拭うように剣を握り直します。
その目には、怒りと悲しみが混じった狂気の光。
「老鲍……必ず仇を取る。」
そのまま前線へと歩み出る李嶷の姿は、まるで血に濡れた戦神。
彼のただならぬ気迫に、周囲の兵たちは息を呑みます。
失った者のために、もう誰も失いたくない――
そんな決意が滲み出る李嶷の姿が胸を締めつけました。
その前方では、李崃(りらい)が優勢に立っていました。
彼はかつての兄弟の死を嘲笑うように笑みを浮かべ、
「李嶷など恐るるに足らず。揭硕の兵よ、殺せ!」
怒号が飛び交い、揭硕兵たちが一斉に突撃。
しかし、血と痛みに染まった李嶷の剣さばきは凄まじく、
敵は次々と倒れていきます。
それでも、度重なる傷と出血で体力は限界。
ふらついた瞬間、李崃の刃が彼の胸をかすめます。
「終わりだ、弟。」
李崃が勝ち誇った笑みを浮かべたその瞬間――
鋭い風を切る音が響き、
一条の矢が彼の首筋を貫きました。
崔琳が駆けつけていたのです。
「李嶷!」
彼女は馬から飛び降り、血まみれの李嶷に駆け寄ります。
「お願い、目を開けて……!」
かすかに彼のまぶたが動き、
「……琳……」と名を呼ぶと、また意識を失ってしまいました。
涙と血に濡れた再会――
崔琳の叫びが、沈んだ戦場に響き渡る場面は圧巻でした。
夜。
火の灯る野営地で、崔琳は傷だらけの李嶷のそばに座り、
冷えた彼の手を包み込んで温め続けます。
「どうして、いつも無茶ばかりするの……」
彼の顔には浅い呼吸と苦悶の影。
その手を握る崔琳の手にも、涙がぽとりと落ちました。
遠くでは、謝長耳(しゃちょうじ)が自責の念に駆られ、
「もう少し早く着いていれば……」と嗚咽を漏らします。
桃子はそっと背中に手を当て、
「もう責めないで。誰も悪くないわ。」と囁きました。
夜更け。
李嶷が静かに目を覚まします。
傍らでは、崔琳が座ったまま眠り込んでいました。
彼はそっと手を伸ばし、
その指先で崔琳の髪をなで、頬に触れました。
「……ありがとう。」
彼女の手の甲に唇を寄せ、
ひとつ深く息を吸うと、静かにその場を離れます。
寺院の前に腰を下ろし、
傷ついた体で茶を一口。
湯気の向こうに、老鲍の笑顔が浮かびました。
「老鲍、お前の言う通りだった。
戦の後に笑うのは、誰でもない“生き残った者”だ。」
彼は思い出を抱えたまま、血を吐き崩れ落ちます。
そこへ再び崔琳。
「もうやめて……生きて。あなたが生きてくれなきゃ、誰も報われない。」
彼女は彼を抱きしめ、震える手でその頬を撫でました。
戦場よりも静かなこの場面。
「生きてほしい」と願う崔琳の言葉が、愛そのものでした。
その頃、皇宮では新皇が悪夢にうなされていました。
寝床で飛び起き、胸を押さえて呻きます。
「誰か……誰か私を守れ……!」
罪の意識に苛まれる新皇の体には、
もはや病と恐怖が同居していました。
裴献(はいけん)はため息をつきながら進言します。
「李嶷殿下を太子にお立てください。
今こそ国を安定させるべきです。」
しかし新皇は耳を貸さず、
「李俊も李崃も、揭硕に操られたのだ。
あの子たちは悪くない。」
顧相(こしょう)が厳しい声で遮ります。
「彼らは大逆の罪人です!
殿下を立てねば、天下は再び乱れましょう!」
けれども新皇は頑なに拒み、
逆に話題をそらすように言いました。
「ならば崔琳を太子妃にしてはどうだ?」
顧相は目を見開きます。
「それはいけません! 崔倚の勢力が強すぎます。
外戚の干政を招きましょう!」
裴献も反論しようとしますが、
昏庸な新皇は聞く耳を持たず、
結局その話も立ち消えに。
宮廷の愚かさと、現場で血を流す人々との対比――
このドラマが一貫して描く“為政者の罪”がここでも際立ちます。
日々、李嶷は戦の傷と心の傷を抱えながら過ごしていました。
崔琳はそんな彼のため、こっそり衣を仕立てることにします。
「前は、あなたばかりが私を抱きしめていた。
今度は、私から抱きしめてもいい?」
李嶷は驚き、そして微笑みました。
崔琳は背後からそっと彼を抱きしめます。
「もう二度と離さないで。」
その胸の温もりに、李嶷はようやく安らぎを感じます。
その後、崔琳は「小さな魔法を見せてあげる」と言い、
彼の背に触れました。
実は、その手の中にはかつて李嶷が持っていた**簪(かんざし)**があり、
そっと彼の衣の内に忍ばせます。
李嶷は気づかぬふりをしながら、
自分の懐から母の形見の珠玉を取り出し、
崔琳の帯に結びました。
二人は見つめ合い、微笑み、
ようやく長い誤解と距離が溶けていく――。
崔琳が静かに囁きます。
「これでおあいこね。」
李嶷も優しく笑い、
「もう、どちらが守るでもない。これからは、共に生きよう。」
二人はしっかりと抱きしめ合いました。
涙と血にまみれたふたりの手が、ようやく繋がった瞬間。
“和解”というより、“生き抜いた者同士の約束”が感じられる美しい結末でした。
楽游原 第31話の感想まとめ
第31話は、戦と喪失の中で見つけた“再生”の物語でした。
老鲍の死を経て、李嶷はようやく自分の弱さと向き合い、
崔琳は彼の心を包み込むように寄り添う。
血に濡れた戦場から、
静かな夜の抱擁へと変わるこの構成が見事でした。
「もうどちらが守るでもない、共に生きよう」
この言葉こそ、二人が歩んできた長い道の答えだったように思います。
そして、崔琳の簪と李嶷の珠玉。
互いに“命の象徴”を交換したような演出が印象的で、
この先の新たな試練を予感させながらも、
確かな絆の再生を感じさせるラストでした。
次回、第32話――
崔琳と李嶷、共に新たな戦へ。
しかし、平穏を許さぬ宮廷の闇が再び二人を呑み込もうとしています。
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