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クルミットです♪
次世代のために戦のない世をと闘い続け、また靖難の役によって即位したことで「簒奪の皇帝」という評価を払拭するため、歴代の皇帝がなしえなかった功績にこだわり続けた永楽帝も、寄る年波には勝てず、無理に出征した第5次北伐も敗戦に終わり、永楽帝自身が病に倒れ、撤退を余儀なくされました。
強い存在で蓋をして抑えられていたものが、その蓋の消失で、中に閉じ込められていた憤懣や野心が一気に噴き出してくることになります。今回、とうとう永楽帝という大きな存在を失うことになりますが、その喪失感に浸る間もなく、明に大きな嵐が吹き荒れようとしています。果たして誰が勝者となるのか、波乱のヤマ場を見守っていきましょう♪
【大明皇妃 -Empress of the Ming-】(ネタバレあり)
第31話「巨星、墜つ」
楊士奇は、永楽帝に命じられた朱高煦即位の奏状を、朱瞻基に見せる。楊士奇の裏切りと思った朱瞻基は剣を抜くが、祖父帝の意志だと知って愕然とする。永楽帝が漢王の即位をただ発表するのではなく、楊士奇を呼んだのは、朱瞻基に活路を残すためだと朱瞻基に決断を迫るが、若い朱瞻基には蟄居など考えられず、激しく動揺する。
朱高煦は誓約しても、蟄居のまま朱瞻基を生かすわけがないので、仕方ないですよね
朝まで朱瞻基は酒を煽り続けるが、解決策が見つからないまま、楊士奇は永楽帝に呼ばれる。楊士奇は朱瞻基を伴って永楽帝の前に現れ、「漢王は平和の君主ではない」と訴える。永楽帝は朱瞻基では朱高煦に勝てないだろうと危惧するが、朱瞻基は「私の望む生き方をさせてください」と覚悟を語る。
永楽帝は朱瞻基に覚悟を促すために、楊士奇を通じてわざと朱高煦即位を告げたのでは
皇太子が夜中に目を覚ますと、枕元に永楽帝が鎧を身に着けた姿で立っていた。永楽帝はいつもの戦地土産だと、匈奴が使う青銅製の帯留めの鳳凰を差し出す。永楽帝は皇太子の労をねぎらって手を引いて「今すぐ大殿で即位せよ」と促す。皇太子は寝間着のままではと着替えようとして花瓶を割り、振り返ると永楽帝は姿を消していた。皇太子妃、胡善祥、若微が駆け付けると、皇太子は「父帝から即位しろと言われた」という。皇太子の寝台に、匈奴の帯留めだけが残されており、皇太子は父帝が確かに来たと確信する。
その頃、永楽帝は戦場にて息を引き取っていた…
本当に生霊が戻って来たように思えます。正反対だけど、父子は最大の理解者だった…
永楽帝の死により、朱瞻基、楊士奇、樊忠は今後のことを話し合っていた。樊忠は朱高煦と朱高燧に訃報を知らせる使者を送っていたが、朱瞻基はそれを連れ戻していた。玉璽を手に「漢王と趙王に全力で敵を攻めよと命じ、陛下の生存を信じさせろ」と指示する朱瞻基に、樊忠は謀反だと剣を抜くが、楊士奇がそれを抑え、永楽帝の業績を盤石にするためだと説得する。軍内の二皇子の間諜に、永楽帝の生存を信じさせないといけないのだ。
百戦錬磨の将軍を短剣で制圧できるとは、楊士奇は文官なのにただものではない♪
朱高煦と朱高燧のもとへ聖旨が届き、それぞれ敵を攻撃しろと命じられた二皇子は不審に思い、本営に押し掛ける。永楽帝の機嫌が悪く、物を投げ散らかしている様子を装って、二皇子に出直すように促すものの、二人は無理に寝所に押し入ろうとするが、踏み込もうとした足元に物が飛んできたため諦めて帰る。寝所に隠れていた于謙、兵を隠れさせていた樊忠をはじめ、万が一に備えていた朱瞻基たちはほっと胸をなでおろす。
于謙に最優秀永楽帝賞をあげたいくらい、絶妙のタイミングで投げ散らかしましたね!
胡善祥は豆子を呼び、内密に漢王妃に文を届けるように命じる。豆子は漢王府まで臼を担いで降ろすことを許されず、漢王妃の手下だと見破られたのだった。漢王妃は用済みの豆子を放り出し、配下に胡善祥の裏切りを朱高煦に伝えさせる。
胡善祥のこういうやり方が後宮脳だなと思います。臼は重いですよね♪
深夜、若微の寝所に突然朱瞻基が姿を現し、両親に会うための手引を頼む。若微に連れられて東宮に着いた朱瞻基は、父皇太子に永楽帝の崩御を伝える。すべてを聞いた皇太子は、父帝の判断は正しいと考え手を引くように促すが、朱瞻基は父に即位の準備をと迫る。皇太子妃は朱瞻基と二人になると、重病の父をいたわれない息子を叱り飛ばす。朱瞻基は叩頭して強く頭を打ち、気を失ってしまう…
この皇太子の性格もあって、永楽帝は朱瞻基に「準備」をさせるしかなかったのかも…
第32話「新帝の誕生」
気を失った朱瞻基は若微の寝殿に運ばれ、二刻ほど熟睡して目覚める。若微がこの1年奏状の返信を代筆していたため、戦況を把握していたと知り、朱瞻基は驚きと愛しさで若微を抱きしめる。若微は「夫婦は一蓮托生」と、朱瞻基についていくと答える。
会えない時間が愛を育てていたのでしょうか。朱瞻基は出征してよかったかもですね
朱瞻基は剣を片手に東宮に赴き、父・皇太子と二人で語り合う。永楽帝の崩御と現状を確認し、朱瞻基から玉璽を受け取った皇太子はとうとう即位の覚悟を固める。これからの計画を語る朱瞻基に、皇太子は軍を御すためには獣を服従させるように飴と鞭を使い分け、決して追い詰めてはならない」と言い聞かせる。
金継ぎのある例の伝国璽は、弱気の皇太子ですら変えるマイプレシャスなのですね…
オイラトのマフムードは戦勝を喜んでいたが、タタールとウリヤンハイの族長たちは部族の事情から兵士を引き上げるという。激怒するエセンをたしなめ、マフムードは族長たちに中原攻略の計画を語ってみせるが、夢物語だと笑い飛ばされてしまう。
マフムードはてっきり死んだと思っていたのに生きていました!しぶといですね♪
胡善祥は、皇太子妃の様子から朱瞻基の帰還を察し、若微に尋ねる。若微は朱瞻基が皇帝になるつもりだが、もし計画が失敗したら胡善祥を外に逃がすと言う。しかし胡善祥にとっては朱瞻基以外に何もないから、「私は皇太孫妃よ」と、逃げるなら若微だと突っぱねる。
愛情は無くても皇太孫妃の座にしがみつきたい気持ちは、若微にはわからないかも
朱瞻基は三楊の楊栄と楊溥を呼び、皇太子の即位について話し合うが、即位してもどれほど命がもつかわからないため、三日間のうちに即位を決めて天下に宣言することに。
一方楊士奇は二皇子が追撃命令に従わないため、聖旨をつきつけるが、朱高煦と朱高燧は明日、永楽帝に相談させてもらうという。本営の様子を妙だと見て、朱高煦は軍を本営近くに移動させて様子を探ることに。楊士奇や于謙は、芝居がもう限界だと感じていた。
干し魚で死臭を隠すのは、始皇帝以来の中国の伝統的手法ですね♪
見送りにきた若微に、朱瞻基は聶興の死について語り、彼に一生申し訳なく思う、と言うが、若微はすでに聶興の死を受け入れていた。「私が帰還しなかったら、泣いてくれるか?」そう言って抱きしめる朱瞻基の背に、若微はしっかりと手をまわして答える。振り切るように若微を放し、朱瞻基は再び戦場へと戻っていく。
二人の愛が深まったいい場面ですが、迎えも見送りも若微で、胡善祥の存在は皆無…
翌日、朱高煦と朱高燧が本営に到着し、樊忠はもしものために密かに兵を配置していた。干魚の悪臭の中、二皇子は永楽帝なき陣幕に入っていくが、その頃皇太子は都で、病体をおして即位式に臨んでいた。于謙と樊忠は二皇子に永楽帝の崩御を告げ、新帝がすでに立ったことを告げる。朱高煦と朱高燧は樊忠の兵に取り囲まれ、内乱状態が勃発する。朱高燧は鏑矢で三千営に異変を知らせるが、三千営は助けに現れない。すでに楊士奇が永楽帝の崩御と休戦を知らせ、兵士たちは帰還に喜んでいたのだった。
永楽帝がこの策を見たら誉めるでしょうか、「朕ならもっとうまくやる」って言うかな
朱高煦と朱高燧はひとまず本営の外に逃れようとするが、そこには朱瞻基が立ちはだかっていた。皇太子が即位し洪熙帝となり、その聖旨をもって二皇子を北京に迎えに来たのだという。樊忠が武力の放棄を兵士たちに叫ぶと、兵士たちは口々に新帝に万歳を叫んで武器を捨て、取り残された二皇子も渋々剣を置く…
一連は于謙のシナリオかなと思うのですが、さすが永楽帝が見込んだ状元、ニクイ演出…
第33話「遺詔と公印」
朱瞻基による永楽帝の葬列が都を練り歩き、永楽帝の偉大さを偲び紙銭がふりそそぐように撒かれる。帰京した朱高煦と朱高燧は即位した皇太子=洪熙帝に拝謁するが、不満を隠さず、崩御にまつわる疑問をつきつける。洪熙帝は兄弟助け合おうとその場をごまかす。
過去視聴したドラマの中で最も美しい、最高にエモーショナルな葬列だと思います
漢王妃は朱高煦の通夜支度を手伝うが、皇后になった皇太子妃に会ってもらえないとこぼすが、何も答えない夫に戦から戻ってから別人のようだと言う。朱高煦は「お前より不運な妻はいない」と考えていたと答える。
どういう意味で不運?このままでは皇后にしてあげられなさそうだから?それとも?
朱高燧は仏頂面で、帰京を止めたのに聞かなかった朱高煦を責める。今や都は朱瞻基の手先ばかりで、朱高燧の息がかかっていた北鎮撫司すら総入れ替えされていたのだ。しかし朱高煦は、通夜の場で兄帝を問い詰め、朝廷に疑惑の種をまくことで挙兵しようと考えていた。
朱瞻基が実質即位したようなもので仕事早い!彼は権力を手にしたら輝くタイプですね
朱瞻基と于謙、楊士奇は今後について話し合うが、朱瞻基は通夜の場で二叔父を排除しようと企み、于謙から猛反対されていた。意見を求められた楊士奇は、「問題は陛下が望まれるかどうか」だと慎重さを求め、両方に味方しなかったため、朱瞻基は憤慨し、于謙とも激しく言い争うことに。
ここにきて身内が一枚岩じゃないというのは、なかなか厳しいような。大丈夫かな?
皇太子妃となった胡善祥は、多忙な皇后に代わって後宮を任されていたが、補佐してくれるはずの胡尚儀が酒で仕事をせず、引退して皇宮を出たいと言う。守るべきだった胡善祥を手放してしまったことを悔やみ、すべてを失った虚無感から立ち直れない胡尚儀に、胡善祥は怒りをぶつけることしかできない。謝罪してきた気の利く女官に目を留めた胡善祥は、その女官の名「安歌」に聞き覚えがあったため、自分のそばに置くことにする。
胡尚儀に別の生きがいを見つけてあげたくなりますが、難しいのでしょうね~
若微は代筆を続けているうちに、洪熙帝本人ですら区別がつかないほど筆跡が同じに書けるようになっていた。それを見込んで洪熙帝は、先帝の遺詔に靖難の遺児の赦免を書き加えるように指示する。赦免を先帝の遺詔に組み込めば、反対勢力による多くの論争が避けられるからだ。今夜中に完成させるようにと命じられ、若微は号泣して感謝する。
もしや、これのために代筆の訓練をさせたのではないかと思うほどの、洪熙帝の深謀…
通夜の場に入っていった朱高煦と朱高燧は、視線の鋭い者たちがそこかしこにいるのを感じる。しかし洪熙帝は朱高煦と朱高燧の跪拝を免じ、「家人の礼」でよいと兄弟三人で祭壇の前に並ぶ。朱瞻基が「全員が皇帝より後ろに」と異議を唱えるが、洪熙帝は受け流す。
長い通夜に参列者たちが疲労困憊する中、漢王妃が密かに胡善祥を呼び出すが、それを皇后・張妍が不審の目で見ていた。
まさに通夜が鴻門の会状態。暗殺を邪魔する樊噲が父帝では、手も足も出ませんね
胡善祥を呼び出した朱高煦は、朱瞻基と事を構えるつもりだと語り、胡善祥を死なせたくないから一緒に逃げようと誘う。そのために都の公印を持ち出すよう指示するが、ひるむ胡善祥に「そなたと私は一蓮托生だ」と迫り、生きて戻れば明の皇后にすると約束する。胡善祥が去った後、隠れて見ていた朱高燧は「遊び駒を今頃使うとは」と大笑いするが、朱高煦は弟の目は節穴だと一喝する。
こういう意味で漢王妃が「不運な妻」なのか、朱高煦の本気がどこまでなのか謎…
朱瞻基は配下のものを通夜にしのばせていたが、洪熙帝が二人から離れないため手が出せないでいた。息子の思惑に気付いていた洪熙帝は、朱瞻基に廃太子までにおわせて自重するよう釘を刺す。
洪熙帝、慈愛の人すぎる。兄が思うほどに弟は兄のことを思ってはくれていないのに…
若微が先帝の筆跡を練習していたところ、突然胡善祥が入ってきて驚く。胡善祥も若微が遺詔の改竄をしていたことに気づいて驚くが、我に返って都の公印を持ち出す。若微は止めようとするが、胡善祥はお互い様だと突っぱねて出て行ってしまう。
この姉妹、きわどい秘密抱えすぎ!とはいっても「お互い様」ではないと思うのですが
翌日、洪熙帝がいよいよ先帝・永楽帝の遺詔を読み上げることに。遺詔には皇太子への皇位継承などとともに、「靖難の役で流刑や死罪に処された者、全員に大赦を下す」の文があった。そして読み終わった瞬間、朱高煦が「待った」と叫び、「この遺詔は偽物だ!」と…
惜しい、偽物ではなくて本物!…だけど改竄されているので、ちょっと後ろ暗い♪
31~33話の感想
とうとう永楽帝が崩御。愛すべきめんどくさい皇帝にずっと出ていてほしかったのですが、そうはいかないのが大いに残念です。次回から激しい永楽帝ロスになりそうです。彼の存在はあまりにも大きかった…
永楽帝が楊士奇に朱高煦即位の意志を伝えたのは、おそらく朱瞻基に準備と覚悟を促すためだったのでしょう。永楽帝の父・洪武帝が寵愛する皇太孫・建文帝の即位で、靖難の役を招いたのと同じ構図が自分の死によって再現されかねないことに危機感を覚えたのでしょうか。叔父が甥を倒して帝位を簒奪するという自分がかつてやったことを、死を前にして違う角度で目の当たりにするはめになった永楽帝。建文に勝ち目がなかったように朱瞻基も普通にしていたらおそらく負けるので、あらかじめ覚悟を促し考えさせることで、朱瞻基に天意を引き寄せる力を与えたように思われます。
しかし、朱高煦がそれで黙って引き下がるわけもなく。今となっては「永楽帝の遺志」が実際どうだったかなどはどうでもよく、遺詔の正統性に疑念さえ生じさせて朝廷を割らせればなんとかなるという、雑なようで非常にツボをついた策を出してきました。まさか朱高煦も、あの臆病な兄が遺詔を実際に改竄などという思い切ったことをするとは思っていなかったことでしょう。でも本当に改竄してしまったわけで、そこを突かれると洪熙帝だけでなく、若微にとってもかなりまずいことになりそうです。
豆子は目はしのきく女官だったのですが、ききすぎて漢王府のスパイになっていたのですね。どの段階から裏切っていたのかわかりませんが、心眉をチクったあたりからすでに何かあったとか?そう、心眉といえば…胡尚儀に仕えていた安歌は、心眉が朱瞻基のお手付き狙いをしようとした従妹ではなかったですか?そんな子を側に置いて大丈夫でしょうか?もし安歌が、心眉の死因を知っていたら… どういう形で復讐されるのか、朱瞻基の寵愛を全力で奪いに行くとかそういうのでしょうか?ドロドロの後宮ドラマの見過ぎですね♪
さて、若微と朱瞻基がようやく夫婦として心が寄り添うようになった一方、胡善祥は野心で正妻の座にしがみつこうとする反面、朱高煦の脅しにも乗りかかっています。胡善祥を「妃」たらしめていた重しは、いまや何の意味もなくなっているのに、大丈夫なのでしょうか。朱家の骨肉の争いと女たちの闘いはまだまだ続きそうです♪
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